◇医療情報−椎間板ヘルニア


椎間板とは、脊椎と脊椎の間にあります。円盤のような形をしており、ほぼ中央に随核と呼ばれるゼラチン状の柔らかい塊があり、これをとりかこむように繊維軟骨の層が同心円状に重なり合って繊維輪と呼ばれる周辺部を形成しています。脊柱すなわち背骨は体軸となる主要な骨格です。犬の脊柱は約35個の椎体からなり、@頚椎(7個)A胸椎(13個)B腰椎(7個)C仙椎(3個)D尾椎(犬種によって異なります)に分類されます。椎間板は椎骨と椎骨の間、2番目と3番目の頸椎の間から7番目の腰椎椎骨と1番目の仙椎椎骨の間に存在します。3つの仙椎椎骨は一つの骨として繋がっており椎間板はありません。また、椎間板は尾椎椎骨の間にもありますが、臨床的にはさほど重要ではありません。

【原因】
椎間板に変形が生じ、その内容物が脊柱管内に突出することにより脊髄を傷害し、さまざまな神経症状を引き起こします。椎間板ヘルニアは一般に頚椎領域、胸椎後方、腰椎前方領域に発症が多いとされています。

【特徴】
ダックスフンド、シー・ズー、ペキニーズ、ビーグルなどの犬種に多発しますが最近は肥満の犬が増え、どんな犬種にも見られます。

【症状】
頚部椎間板ヘルニア症では頚部の痛みからはじまり、運動失調、麻痺が認められるようになり、重症になると自力で起き上がれなくなり、四肢の完全麻痺や自力による排便・排尿に困難がみられることもあります。また胸部や腰部における椎間板ヘルニア症では腰背部疼痛、後肢の運動失調などが発現し、自力による排便・排尿が困難になることも多いです。いずれにしても痛みを伴うため、早急な治療が必要になります。

【診断】
レントゲン撮影による診断、場合によってはCTやMRI。

【治療】
痛みを和らげるような内科的処置により、程度の軽い場合は歩けるようになりますが根本的には手術による外科的処置が必要です。最近ではレーザーによる治療もあります。レーザー治療では痛みが和らぎ歩けるようになる場合もあります。当院でも頻繁に使用しています。

【予後】
程度によりますが、手術によって歩けるようになる場合もあります。しかし、ひどい場合ですと一生動けなくなる場合もあります。



VT 須田智子 2002.8.5



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