◇医療情報−子宮蓄膿症

子宮蓄膿症とは・・・
 子宮内に膿が貯留する疾患をいい、雌の犬や猫に良く見られる生殖器疾患の1つです。
未経産犬(猫)または、長期間繁殖を休止している老齢犬(猫)に多発します。
外陰部から分泌物が認められる開放型と、分泌物を認められない閉鎖型があります。いづれも放置すれば、致死率は高い疾患です。

原因は、発情終了後、数週間から2〜3ヶ月続く黄体期に多発します。この時期は、子宮組織の感染に対 する抵抗性が低下し、細菌の発育増殖に都合のいい環境となり発症すると言われています。

症状には
 1.多飲多尿
 2.陰部からの膿汁の漏出
 開放型では、陰部よりクリーム色から茶褐色まで様々な色の分泌物が認められます。
 3.食欲不振、元気消失
 4.腹部の膨満
  子宮内に多量の膿が貯留するため、腹部が張ってるようにみえます。
 5.嘔吐
 6.外陰部の腫大
などがあります。

行う検査内容は
 1.X線検査 異常に膨大した子宮や、膿が充満した子宮は、レントゲンでわかります。
 2.超音波検査 膿が充満した子宮がわかります。
 3.血液検査  しばしば白血球の増加が見られます。また、この病気によって、
腎臓の機能障害も見られるため、予後を判断する指標として重要な検査です。

治療法は、点滴によって、体の状態を改善し、早期に卵巣子宮摘出術を実施する事が最適な方法です。
 内科療法ではほとんどの場合対処できず、内科療法において治癒した場合でも再発する可能性が高いのです。

予防法は避妊手術(子宮卵巣摘出術)にて予防する事ができます。

いろいろな病気の予防のためにも、健康で長生きさせるためにも避妊手術は重要です。

VT 山田 尚美 2001.1.9


アメリカの動物病院では子宮蓄膿症はほとんどみることがありません。かなり珍しい病気です。それはアメリカではメスの初回発情以前に避妊手術を行ってしまうからです。いつの日か日本も子宮蓄膿症がまれな疾患になる日が来ることを祈っています。
(by院長)


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