◇医療情報−胎子死,流産,死産





妊娠中の胎子の死亡,死産,もしくは流産は@母体,A胎子,B胎盤の三つの要因の何れかの異常が原因になります。

原因
@母体
感染症,甲状腺機能低下症,免疫介在性疾患,妊娠子宮ヘルニア・捻転,外傷,黄体機能不全(まれ)などにより影響を受けます.

A胎子
感染症,解剖学的異常(環境や染色体異常による)により影響を受けます.

B胎盤
主に感染により影響を受けます.


臨床徴候
妊娠初期に胚子死が起こった場合,まれに外陰部から漏出物が見られる程度で,ほとんど症状に現れません。ただし,不妊の場合も黄体ホルモンは機能しますので(猫も交尾により黄体ホルモンが機能します),偽妊娠時と同様に妊娠徴候が継続することがあります。犬で60日以上,猫で30-50日程度持続します。妊娠後期に胎子死が起こった場合は,外陰部から排出物が観察されます。


診断
最初に母犬・猫の生活環境,給餌している食餌,ワクチン接種状況,使用している薬剤の有無および種類などによる影響を確認します。そして,母親の健康状態と生存している胎子の有無を調べます。
残存胎子および生存胎子については触診,レントゲン,超音波などの方法を用いて調べます。
母親の状態は血液検査や尿検査によって調べます。陰部から排出物があるようならその細菌培養を行い,抗生物質の感受性を調べた方が良いでしょう。また,感染要因(猫白血病ウイルスなど)に対する血清を用いた検査も行うべきです。
流産した胎子と胎盤に関して病理解剖および微生物学的検査をすることで,解剖学的な異常や感染症が判明することがあります。
遺伝的な原因をはっきりさせることは臨床レベルでは難しいですが,その個体の血統に類似したケースが確認できるならした方が良いでしょう。この場合,遺伝的な問題がある可能性が高いなら,繁殖させるべきではないでしょう。


治療
原因が明確にならない場合は,母体に対して対症的治療を施します。
生存胎子がいて,かつ,妊娠が継続させられる状態なら,経過をよく追いつつ継続させていいでしょう。
また,いないなら子宮収縮薬の投与や,卵巣子宮摘出手術を施すことにより子宮内容物を除去します。
細菌性の疾患である場合,抗生物質を投与します。


予後
原因が不明なものに関しては,次の繁殖で問題が全くでないこともあります。
ただし,個々の症例で異なりますので,再度トライする場合には注意が必要です。


                         
獣医師 堀 吾郎 2003.2.19

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