◇医療情報−鼠径ヘルニア




鼠径部(内股の、足の付け根の部分)の皮膚と筋肉の間に空間ができて、そこに腹腔(腹部の内臓をおさめている空間)内の内臓がはまりこんでしまうため、様々な症状を示す病気のことです。
はまり込んだ内臓とその障害の程度によって、腹部が瘤状に少し腫れているだけであったり、重症になると膀胱がはまり込んでおしっこをすることができず、最悪死亡してしまうこともあります。
放っておくと徐々に悪化していきます。また自然に治ることはありませんから、発見した時点で適切に治療する必要があります。


【原因】
先天性で生まれもってこの病気にかかっている場合と、発情や肥満などの様々な原因によって発生してしまう場合とがあります。
肥満や妊娠によって、腹腔内の圧力が上昇して、腹腔の外へ飛び出てしまったり、特に、雌イヌでは発情中に発生するケースが多いことから、ホルモンの影響もあるのではないか?と言われています。


【症状】
一般に痛みのない瘤状の膨らみが下腹部に発生します。
腹腔内の脂肪が入り込んでいるのみであれば全身の症状は見られません。
腸や子宮、膀胱などがはまり込むと、その内臓の種類とはまり込んだ程度によって、便秘や腹痛、尿閉(おしっこ詰まり)を起こします。
また、はまり込んだものが癒着(病的に内臓が別の内臓や体壁に張り付いてしまうこと)を起こしていなければ、再び腹腔内にその内容物を押し込むことが可能です。


【診断】
症状や、腫瘤内の内容を押し戻せること、あるいはレントゲン検査や超音波検査をすることによって診断します。


【治療】
外科的な治療をします。
つまり、麻酔をかけて内臓がはまり込んでいる穴を塞いで、内蔵がはまり込まないように整復します。


【予防】
1つの原因として、発情が挙げられますから、子供を作る予定がないのであれば積極的に避妊をし、適切な給餌で肥満をさせないように配慮することで、すべてとはいかないものの、かなりの発生を抑えることができると考えられます。
また先天的に発生していることが分かっているのであれば、できるだけ早いうちに避妊と鼠径ヘルニアの外科的な整復をしておくことをお勧めします。





獣医師  加藤拓也  2003.12.9

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