◇医療情報−脂肪腫




皆さん、こぶとり爺さんのお話をご存知ですか?「小太り」ではないですよ。ほっぺの「こぶ取り」をしたお爺さんのお話です。脂肪腫は、脂肪細胞から発生する良性の腫瘍で、あのお話のようにブヨブヨしてますし、取ったらそれで治療終了です。成犬〜老齢のワンちゃんによく起こります。犬種による差はありません。女の子の方が、男の子よりも2倍、多く発生すると言われています。体中、あらゆる所に発生しますが、胸部、腹部、後ろ足、脇の下の皮膚の発生率が高いです。


【原因】
不明です。老齢性の変化であると予想されます。


【症状】
大抵は、ワンちゃんの体を触っている時に、飼い主様が気付かれます。ワンちゃん自身はあまり気にしません。通常は一つだけ発生しますが、体中に数個できることもあります。大きさも形も一定ではありません。ゆっくり大きくなり(深く侵入はせず、広くなっていくことが多いです)、境界ははっきりしていて、皮膚の下に存在し、触るとブヨブヨと軟らかいです。ただし、筋肉の間に発生した脂肪腫は、非常に固く感じられ、周囲の筋肉を圧迫するので、痛みを伴います。この侵入性の脂肪腫は、ラブラドール・レトリバーなどの大型犬種に多いようです。


【診断】
腫瘍に注射針を刺して、細胞を採ってきて、顕微鏡で観察する、いわゆる細胞診を行います。この場合、内容は脂肪、つまり「あぶら」ですから、ガラスに、採れた細胞を塗りつけると、テカテカと光ります。また、通常、細胞診を行う時は、取れた細胞を塗りつけたガラスをアルコールに浸しますが、脂肪はアルコールに溶けますので、顕微鏡で脂肪細胞を観ると、何も入っていない、抜け殻のような細胞が観察されます。


【治療】
無処置でも構いませんが、侵入性で痛みを伴ったり、かなりの大きさだったり、生活の邪魔になる場所で、ワンちゃんに何らかの障害が出る場合、また、急速に成長している場合、また、飼い主様が「わずらわしい」と感じる場合は、切除してしまうのが適当です。大部分はそれにより治癒します。ただし、侵入性の場合は、かなり深く取っても、再発しやすい傾向があります。そのため、侵入性で、かつ、手術の際、取り残しが疑われる場合は、手術後に放射線療法を併用する場合もあります。


【予後】
良性の腫瘍なので、転移もなく、侵入性でなければ、予後は良好です。




                         
獣医師 斉藤大志 2003.4.29

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