◇医療情報−子宮脱

子宮脱は、まれな疾患で子宮の一部または全部が反転し、膣内または陰門外に管状の塊として脱出した状態を言います。通常分娩中や分娩後に起こりますが、流産に続いてもみられることがあります。

症状:
軽度〜重度まで様々です。子宮が脱出している以外には臨床症状が現れない動物もいれば、落ち着きを失い、陣痛のようないきみを持続することもあります。
動物によっては重度の脱水に陥っていることもあり、さらにショック症状を起こしていることもあります。

診断:
視診及び触診により脱出子宮組織を確認することによって、子宮脱が推測できますが、膣過形成や腫瘍と区別する必要があります。

治療:
用手法による整復、開腹による整復、脱出子宮切断術などがありますが、手での還納が困難であることが多いため、通常は開腹による整復を行います。(手術です)その時に、脱出子宮の損傷が重度であれば、卵巣子宮摘出術を必ず実施します。脱出子宮切断術は、脱出後長時間が経過し、組織壊死が進行して子宮を整復することができないような場合に選択されます。
但し、いずれの治療においても、脱水、血圧低下、ショック症状などがある場合、まず輸液や輸血等の処置により状態の改善を図った後、これらの処置を行います。

獣医師 高橋 亜矢子 2001.4.8

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