◇医療情報−条虫症

条虫は一般にサナダムシとも呼ばれているお腹の中の寄生虫です。種類はたくさんありますが、その中でも犬・猫によく見られる瓜実条虫とマンソン裂頭条虫について今回はお話します。

瓜実条虫について
この寄生虫は、楕円形を一列にたくさんつなげたような形をしていて、長さは1mにもなります。寄生する場所は腸の中です。感染している動物は下痢をしたり、吐いたりすることがあります。条虫は頭の部分で増殖して体を伸ばしていき、卵をたくさん含んでいる後の方の体をちぎって便の中に卵を排出します。しかし検便でこの虫卵を見つけることは難しく、普通は便の表面や肛門の周囲に付着している、ちぎれた虫体(これを片節といいます。)を直接確認することで確定診断がされます。この片節はちょうど米粒のような形・大きさをしています。瓜実条虫の感染はノミが媒介しています。ノミの幼虫が瓜実条虫の卵を食べ、その卵はノミに消化されることなくノミが成虫になるまで生きています。成虫になると動物の血を吸うようになりますが、血を吸われている動物は毛づくろいなどをしたときにノミを食べてしまいます。そして食べられたノミはそのまま消化されてしまいますが、その中で生きていた瓜実条虫が新しい宿主としてその動物に感染するのです。
したがって、瓜実条虫に感染している動物は必ずどこかにノミがいるはずです。逆にノミに感染している犬・猫はこれから感染する危険性があり、あるいは既に感染しているのかもしれません。
ただし、瓜実条虫に効果のある虫下しもあるので、この寄生虫を駆除するのは容易です。(この虫に効果のある虫下しは動物病院にしかありません)
予防法は、瓜実条虫を媒介しているノミを駆除し、接触するのを予防することが一番です。ノミの予防方法は当院ホームページの「買ってはいけないペット用品」のノミの予防についての項を参照していただいたら選択肢も広がるかと思います。

マンソン裂頭条虫について
マンソン裂頭条虫は瓜実条虫と違って、検便で初めて感染を確定できる条虫です。虫体は、きし麺のような形をして、長さは2mを超えることもあります。感染すると下痢や嘔吐の原因になります。
マンソン裂頭条虫の感染は、カエルや蛇などの小動物が媒介しています。これらの小動物を犬・猫が食べてしまったときに、この条虫が寄生してしまうことがあります。田園地帯では特に感染の危険性が高くなります。これは、@カエルや蛇が湿度の高いところを好む Aマンソン裂頭条虫がカエルや蛇に感染するには、ケンミジンコという生物の仲介が必要で、このケンミジンコは田んぼによくいるからです。
したがって、予防方法は小動物の駆除、あるいは犬・猫を外に出さないのが一番ですが、現実的にはほとんど無理なことです。
マンソン裂頭条虫に有効な虫下しはありますが、この寄生虫はかなりしつこいので薬の投与量が他の虫下しの何倍にもなってしまいます。(つまり、値段も高くなります)

どちらの条虫も投薬で駆除はできますが、その感染には飼育環境の問題が必ず関係しているので、この問題を改善しないかぎり再び感染してしまう可能性があります。
また、人にも感染しますので改善できる問題は積極的に解決していきましょう。



獣医師 加藤 拓也  2001.6.25

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