◇医療情報−鎖肛



ごくまれに、生まれつき肛門が閉じたままの子犬、子猫が産まれることがあります。ミルクは飲むのに便が出ない、または、食欲もなく、お腹が異常に膨らんだり、吐いたりする。「便秘かな?」と思い、お尻の穴を見てみると…ない。この病気が鎖肛(さこう)と呼ばれるものです。


【原因】
先天性の奇形です。まず、胎子の時の正常な発育過程をご説明差し上げます。お母さんのお腹の中にいる時、胎子の消化管と、膀胱・尿道・膣などの泌尿生殖器系の器官は、くっついています。また、消化管は外界とつながっておらず、肛門はまだ存在しません。やがて、消化管と泌尿生殖器系の器官とが分かれます。次に消化管の末端の直腸が、外界との境界である肛門膜にくっつき、その後、その膜が破れ、そこが肛門になるのです。  ところが鎖肛の場合、肛門膜が破れなかったり、直腸と肛門膜がくっついていなかったり、直腸が肛門膜ではなく膣や尿道とつながっていたりします。


【症状】
全くウンチを出すことができないので、お腹が膨れる、嘔吐、食欲不振になり、子犬、子猫のように体力のない子は、そのまま亡くなるケースも少なくありません。また、直腸が肛門膜ではなく膣や尿道とつながっている鎖肛の場合、ドロドロの便が、陰茎の先端(男の子の場合)や陰部(女の子の場合)から出てくるのが観察されます。


【診断】
視診、つまり診れば分かりますし、あとは、レントゲン検査で、どのような鎖肛なのかを調べます。


【治療】
外科的な手術しかありません。


【予後】
手術するにしても、体力、免疫力の低い、子犬、子猫の病気なので、手術中になくなる可能性、手術後に合併症で亡くなる可能性も高いです。また、肛門周囲にメスを入れる手術になりますので、もしうまくいったとしても、術後、筋肉、神経の損傷で垂れ流しになる可能性もありますので、その場合は、日々の介護が一生必要になってきます。




獣医師 斎藤大志  2004.2.21

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