◇医療情報−殺虫剤中毒について




現在、業務用・家庭用としてさまざまな殺虫剤が市販されています。
これらにはしばしば、有機リン化合物やカーバメイトと呼ばれる、神経に作用する成分が含まれています。
この薬物を摂取し、そして中毒を起こすと典型的な神経系の症状を現して、場合によっては死亡することもあります。


原因
殺虫剤の噴霧・誤食など
吸引したり、食べたりだけでなく、皮膚からも吸収されます。



−急性中毒の場合−
症状 呼吸困難 激しい流涙 激しい流涎(よだれ) 瞳孔が縮む 腹痛 不整脈 痙攣・昏睡など
治療をしない場合には亡くなってしまうケースが多いです。

治療
有機リン化合物もしくはカーバメイト中毒が明らかな場合には、まずアトロピンという薬を投与します。
この薬は中毒物質に対抗して、神経系の症状が和らぎます。
さらに点滴で血液循環を確保し、酸素吸入によって呼吸困難の状態を改善していきます。



−遅延性神経障害の場合−
症状 中毒物質を取り込んだ後、数週間後もしくは数ヶ月後に筋肉の麻痺が起こり、起立不能や呼吸麻痺が起こり、死亡します。

治療
治療は対症療法です。しかし治療の甲斐なく亡くなってしまうことが多いです。


予防
殺虫剤の使用の際・管理にはくれぐれも注意してください。
もし、農薬や殺虫剤をまこうと思ったときに周りに人、特に子供がいたときには近づかないように注意しているはずです。
動物の場合も同じです。


                         
獣医師 加藤 拓也 2003.4.29

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