◇医療情報−猫のリンパ腫


猫のリンパ腫

 猫のリンパ腫は造血系腫瘍の約90%を占めます.発生年齢のピークはネコ白血病ウイルスの感染の有無によって二つあり,陽性のネコで3歳,陰性のネコで7歳となっています。品種による差はありません。

症状)
 ネコではリンパ腫で全身の体表リンパ節が腫脹するケースは,犬とは違って多くはありません。消化管,前縦隔,肝臓,脾臓,腎臓に発生することが多く,その他の部位として皮膚,眼,神経に発生することがあります。
 症状としては元気消失,食欲不振などの全身症状の他に,発生部位に特異的な症状を示します。例えば,消化管に発生するものは嘔吐や下痢などの消化器症状,腎臓に発生するものは腎不全の症状,そして神経に発生するものは不全麻痺などの神経症状を示すという具合です。

診断)
 確定診断をとるためには組織生検が必要ですが,侵襲の程度や全身状態を評価するために血液検査,尿検査,ウイルス血清検査,レントゲン検査,骨髄検査など,種々の検査が必要になります。
 通常はリンパ様細胞の浸潤がみられない器官系に,このような細胞が浸潤していることを証明することでも確定診断は得られます.

治療)
 単一あるいは複数の抗がん剤を使用して化学療法が行われます。限局した腫瘍に対しては放射線療法も有効です。単一の孤立性リンパ腫は外科的切除によって治療することもできますが,詳細な検査を実施して全身への疾病の波及を調べる必要があります。

予後)
 疾病のステージ,ネコ白血病ウイルスの有無,解剖学的発生位置,治療反応性などの様々な要因によって異なってきます。



獣医師:堀 吾郎 2002.7.8


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