◇医療情報−卵巣遺残症候群




避妊手術をしたのに発情しているような行動や身体的な特徴が出てくるというケースがまれにあるようです。卵巣組織が残っており,卵胞を形成する能力と性ホルモンであるエストロゲンの産生する能力が持続あるいは再獲得されたケースです。

原因)
正常な卵巣の位置とは異なる異所性の副卵巣の存在を指摘する例もあるようですが,正常な位置に組織が残るという外科手技に起因するケースが多いようです。


症状)
基本的には発情していたときと同じ特徴が身体あるいは行動もしくはその両方に出てきます。
発情が再開するまでに数週間しか経過しないケースもありますが、長いものでは避妊手術後5年経過してから発情回帰したものも報告されています。


診断)
一般的には避妊しているのに発情徴候を示すという病歴と膣上皮細胞の検査によって行われます。高濃度のエストロゲンによって膣上皮は角化してゆくため,外からエストロゲン様の薬剤を摂取していない限り,膣上皮の細胞学的検査によって卵巣遺残物の存在がほぼ確立されるのです。
最終的には,試験開腹による卵巣残存組織の検出をもって確定診断となります。


治療)
開腹手術を行うことによって残存組織を切除します。


予後)
切除がうまく行われた場合は基本的に良いです。


注意)
卵巣組織が少量残っており、単に発情徴候が定期的にくるだけなら大きな問題にはならない場合も多いのですが、最も大きな問題は、卵巣の腫瘍が取り残された小さな組織にも発生してくるということでしょう。これではせっかく早期に避妊手術をしても意味が半減してしまいます。すぐに動物病院にご相談なさることをおすすめいたします。



獣医師 堀吾郎 2002.10.25

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