◇医療情報−膿皮症




皮膚の化膿性病変を総称して膿皮症といいます。
化膿部の深さや程度、化膿の原因となる細菌の種類、基礎疾患の有無などにより病名と症状が異なってきます。


[原因]
非衛生的な環境のために皮膚が汚染されたり、犬同士、猫同士がかみ合ったりしてできるすり傷やかみ傷から黄色ブドウ球菌などの病原細菌が感染して化膿性病変を発生させます。
また過度のあるいは不適当な成分を含むシャンプーの使用などでも本症の原因となります。
そのほか、他の疾患に続発して起こることもあります。


[特徴] 
本症には表層性のものと深層性のものがあり、口唇性、顔シュウ性(鼻と眼の間の深いひだ)、外陰性(発育不全や肥満した雌の会陰部に好発する)膿皮症などは表層性膿皮症に分類されます。一方、指間に発生する指間性、若齢犬にみられる若年性膿皮症などは深層性膿皮症に分類されます。
上唇が垂れ下がって下唇をおおう犬種(セッター、コッカー・スパニエル)には下唇部に口唇性膿皮症が発生しやすく、ブルドッグ、ペキニーズ、パグなど鼻と眼の間に深いひだを持つ犬種では顔に膿皮症(顔シュウ性膿皮症)が発生しやすく、結膜炎を併発する事も多いです。


[症状]
皮膚が局所的に発赤し、しだいにかゆみが増してきます。初期は毛包だけに菌の増殖がおき皮膚の表面に小さな紅疹を見るのが普通ですが、進展すると環状の病変となります。
中心部の古い病変部が色素沈着で黒くなることもあります。痒みが強く犬が舐めたり、引っかいたりしますと短期間のうちに広範な脱毛を示します。主として脱毛は夏季に多くみられる症状です。症状が進んだ例では病巣が深部におよんで腫脹、膿瘍、発熱、疼痛(痛み)などがみられるようになります。


[予防・治療]
病変部の殺菌消毒、生活環境を衛生的に保つことが必要です。
再発と病変部の拡大を防止するため、生活環境の殺菌消毒を施し、本症にかかった犬は隔離して他の犬と接触させないことが必要です。
また、食事の改善も必要に応じて行います。


[予後]
軽症なものでは自然治癒しますが、抵抗力の弱い犬・猫や、膿皮症に対する治療法が不適切だったりすると炎症が悪化し、慢性化しやすい病気です。



VT 須田智子 2002.10.25

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