◇医療情報−猫の骨折・脱臼





【原因(骨折)】
<外傷性骨折>
猫は交通事故、落下により発生することが多く、犬による咬傷が原因でもおこります。
交通事故ではさまざまな部位での骨折が発生します。とくに骨盤骨折、大腿骨複雑骨折の割合が多く骨折部分が筋肉や皮膚を破り,体外に突出する開放骨折も猫では多くみられます。高層住宅の増加により落下による骨折も増えてます。落下では前肢の骨折、下顎骨骨折、頭部陥凹骨折がおこりやすいです。ベランダの手すりに、布団やカーペットを干したときに猫が飛び乗り、ともに落下することが多いので十分な注意が必要です。

<病的骨折>
骨腫瘍などによる二次的骨折は猫ではまれで,問題となるのは栄養性二次性上皮小体機能亢進症です。子猫にとって必要なカルシウム量に満たない牛乳や、人間のミルクを与えるなど栄養の不均衡によるミネラルのアンバランスが原因で骨が弱くなる病気です。X線では骨皮質が薄く、青竹が折れるような骨折をおこしやすく、脊椎が弯曲し歩くことができなくなることもあります。リンの多い生肉の多食を避けて猫専用のミルクで育てることにより、この病気を防ぐことができます。


【症状】
落下と比べ交通事故は、骨折にともなって血管、筋肉、神経の損傷が激しく、事故直後ではショック症状が発現しているので全身的な治療が必要とされます。骨折した場所により症状はさまざまですが頭部の骨折では、歯の破折、眼球損傷、鼻出血、流涎などがみられます。
四肢の骨折では、歩行困難、跛行(足をひきずって歩く)、熱感や疼痛がみられます。


【治療】
骨折の治療には仮骨の形成、仮骨の血管新生、それぞれの症状により外科的修復、ギブスなどの外的補助。内科的な温存療法が行なわれます。


【原因(脱臼)】
猫では病的脱臼は少なく交通事故での脱臼(股関節脱臼)がおこりやすいです。脊椎脱臼では腰椎や尾椎におこります。
高層住宅からの落下では、肘関節の脱臼が多く、下顎骨軟骨結合部の断裂をともなうことがあります。四肢では体重の負荷ができずに、脊椎では神経麻痺がおこります。


                         
VT 本原 磨井子 2003.2.19

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