◇医療情報−<難産(困難な分娩)>



<難産の病態生理> 
狭いまたは変形した産道、胎子過大、子宮無力症(胎子を産道に押し出す子宮収縮力の不足)に関連しておきます。

陣痛には3つの時期がありますが、第1期は子宮収縮の開始で始まり頸管の完全な拡張に終わります。平均6〜12時間持続しますが、雌犬は落ちつきがなく神経質になり、食欲がなくなったり、震え、あえぎ、嘔吐、または行ったり来たりを示します。
雌犬はこの期の終わりに「巣」となる場所を探します。
雌猫は始めは鳴き叫ぶ傾向があり、娩出が近づくにつれてゴロゴロと喉を鳴らします。

第2期は頸管の完全な拡張に始まり、頸管内に最初の胎子が侵入し絨毛尿膜が破裂する:最終胎子の娩出で終わります。第2期の開始から第1子娩出までの時間はかなり幅がありますが通常4時間以内、第2子娩出の時間も通常は20〜60分と幅がありますが2〜3時間かかる雌犬もいます。

第3期は胎子娩出後に始まり、すべての胎盤の排出によって終わります。
雌犬が多胎であれば、第2期と第3期を繰り返すこともあります。
 

<徴候>
・雌犬、雌猫が胎子の娩出なしに30分間持続的な強い努責をしています。
・第2期開始後に第1子娩出までに4時間以上経過しています。
・娩出間隔が2時間以上かかります。
・直腸温が37.2℃以下になってから24時間たっても、子犬または子猫が娩出されません。
・娩出時に雌犬または雌猫が鳴き叫び、疼痛症状を示し陰門部をしきりに舐めています。


<特徴>
短頭種、ミニチュア種、小型犬に多く。時には極端に多い胎子数をもった大型犬に多いです。
猫ではペルシャ猫とヒマラヤン猫に多いです。
発生率は年齢とともに増加し、肥満や周産期の急激な環境変化、以前の難産の経験にあります。


<検査>
腹腔と骨盤部のX腺検査によって、妊娠の有無、骨盤構造、胎子の位置、胎子過大の確定ができます。
超音波検査は胎子の生存性を監視し、胎子心拍数を確認することができます。


<外科的治療>
帝王切開術は、非常に難産になりやすい品種および難産歴がある場合、子宮無力症、骨盤または膣腔狭窄、胎子過大、子宮内胎子死亡をもつ雌犬または雌猫に指示されます。

すべての胎子の娩出が終わり、母体が安定するまで病院内で治療をします。




VT 本原磨井子 2003.3.25



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