◇医療情報−抗生物質について


病院に行って薬をもらうときに、よく抗生物質という言葉を耳にするとおもいます。しかし、抗生物質がどんなものなのかよくご存知でない方もいらっしゃるでしょう。ここで抗生物質とはどんなものなのか説明していきます。抗生物質とは実は抗菌剤とよばれる物の一部で「抗菌剤」の中に「抗生物質」と「化学療法剤」いうものが含まれてきます。

【抗生物質】微生物は同じ場所にいるほかの種類の微生物を排除する目的で「発育」・「繁殖」をさせなくする物質を作り出します。その物質こそ「抗生物質」です。抗生物質を使うことにより病原体の体内での繁殖・発育を阻止でき感染症を起こりにくくします。

【化学療法剤】特定の病原体を殺すことができる人工的に合成された物質です。

病原体である細菌の種類がたくさんあるため【抗生物質】【化学療法剤】もいろいろな種類があります。【抗菌剤】を処方する際、抗菌剤どうしを併用することもあります。しかし、抗菌剤によってはお互いにその効果をつぶしあう物や逆にお互いの効果を高める物もありますのでただ処方すれば良いというものではありません。また、ものによっては長期間使用することにより腎臓や骨髄などに障害をきたす抗菌剤も存在します。最近では抗生物質に対抗する力=「耐性」を持った強い菌が出てきています。抗菌剤という物は使い方によって良くも悪くもなるので、獣医師が処方したとおりにしっかり飲む(飲ませる)ようにしましょう。

抗生物質
1、ベータ・ラクタム系
・ペニシリン系:世界で始めて発見された抗生物質です。ブドウ球菌に対して非常に優れた抗菌力を発揮します。その他、梅毒の特効薬として用いられます。

・セフェム系:第一世代、第二世代、第三世代とありいろいろな菌に強い殺菌作用を持っていることから現在多く使われています。

・カルバペネム系:さまざまな菌に強い抗菌力をもっています。

・モノバクタム系:過去にペニシリン系やセフェム系にアレルギーがあるひとにも使用が可能という利点があります。


2、アミノ酸配糖体系(アミノグリコシド系)
細菌の蛋白質合成を阻止する働きを持っています。多くの細菌に効き特にベータ・ラクタム系が効きにくい緑膿菌やセラチア菌にも有効です。副作用として腎機能障害があるので使用時は注意してください。(獣医師が注意するものですが)

3、マクロライド系
作用は細菌の蛋白質合成を阻止するということでアミノグリコシド系と同じで、ベータ・ラクタム系では無効だったマイコプラズマ・レジオネラ・クラミジアなどの細菌に有効です。肺、肝臓で高く維持されるので呼吸器や胆道に感染が起こった場合に有効です。副作用として肝臓障害や消化器症状が見られることがあります。
 
4、テトラサイクリン系
いろいろな菌に効くことから今まで多く使われてきた結果、本剤に対して耐性を持った菌が多いですがコレラ・クラミジアといった細菌には有効です。また、人のほうの病院の院内感染で有名なMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)に対して有効性が認められます。副作用として腸から完全に吸収されないためもともと体内にいる細菌(体にとって必要な細菌)に影響を及ぼします。
     
5、クロラムフェニコール系
副作用により骨髄で血球が作られなくなり白血球の減少に伴う感染症や赤血球の減少に伴う貧血、血小板減少により止血ができにくくなったりします。

6、ポリペプチド系
副作用として強い腎障害と神経障害があるため、皮膚(軟膏)・呼吸器(噴霧)・膀胱洗浄などの局所投与で使われます。人のほうではバンコマイシンがよく使われますが最近、それに耐性(対抗する力)を持った細菌も出てきているようです。

化学療法剤
1、サルファ剤
昔はサルファ剤が感染症治療によく使われていたそうですが、抗菌力は強くなく、耐性菌も出現し、さらに優れた抗菌剤が次々と登場しているので今日では使われる頻度が少なくなってきています。

2、キノロン系(ピリドンカルボン酸系)
オールドキノロンとニューキノロンの2種類がありオールドキノロンはそれほど抗菌力もなく効く細菌も少なかったのですが、その後開発されたニューキノロンは黄色ブドウ球菌や大腸菌、その他いろいろな菌に作用し抗菌力も強いので呼吸器系・尿路系腸管感染・化膿性疾患などさまざまな疾患に用いられます。しかしどの抗菌剤にも耐性菌はつきもので、最近ではニューキノロン耐性のMRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)も増えてきているそうです。現在、動物薬として主流の抗菌剤です。


VT 望月慎也 2002.8.5



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