◇医療情報−甲状腺機能低下症

 甲状腺は、甲状腺ホルモン(サイロキシン、トリヨードサイロニン)を産生、分泌する内分泌器官で、これらのホルモンはエネルギー代謝、蛋白質代謝、糖質代謝、脂質代謝、ビタミン代謝など身体のさまざまな代謝に作用するので、不足すると全身にさまざまな症状が起こります。この病気は中年齢以上に多く、雄にも雌にも認められます。品種では、アフガン・ハウンド、ビーグル、ボクサー、ドーベルマン、コッカ−スパニエルなどに多いといわれています。猫でのこの病気の自然発症は非常にまれです。

原因:
一次性(原発性、甲状腺性)、二次性(下垂体性)、三次性(視床下部性)に分けられますが、犬ではこの病気のうち95%以上が原発性で、甲状腺組織自体の萎縮や破壊により発症します。

症状:
症状は多岐に渡りますが、発症したからといって、すべての症状が現れるというわけではありません。元気がない、よく眠る、低体温、疲れやすい、運動不耐性、食べてないわりに肥満、徐脈、皮膚の乾燥や色素沈着、毛質の変化、脱毛などが主な症状です。
またこの他、雌では発情周期が不規則になり、受胎率が低下したり、雄では性欲の減退や、精巣の萎縮がみられることもあります。

診断:
症状や血液検査などが診断の助けになりますが、確定診断には甲状腺機能検査(甲状腺ホルモン濃度測定とTSH(甲状腺刺激ホルモン)刺激試験)が必要です。

治療:
今のところ根治はできないので、確定診断後には甲状腺ホルモン製剤の投与を一生涯続けます。





獣医師 高橋 亜矢子 2001.7.29

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