【定義】
鼓腸とは胃または腸管のガスまたは空気による拡張です
放屁とは体開口部からのガスの排出です
一般的な使用方法では、この語は肛門からの腸管ガスの放出を指しています
【病態生理】
胃腸管内でガスが産生され蓄積することは正常です しかし、 ある種の胃腸障害のある
動物ではガスの産生は増大し、その結果過剰な拡張を起こします。
胃腸のほとんどすべてのガスは2つの源から発生しますが
それは、嚥下された空気と摂取された栄養物の細菌発酵です。
この両者を増加させるいかなる状態も鼓腸を起こします。
腸管ガスのほとんどの成分は無臭で、これらには窒素、酸素、水素、メタン、及び
二酸化炭素が含まれます。
腸管ガスの1%以下が硫化塩素、アンモニア、インドール、スカトール、揮発性アミン、メルカプタン及び
短鎖脂肪酸のような悪臭性物質からなります。
放屁の量や成分比は、細胞叢の量や型、及び食物の成分や量によって影響されます。
線維や豆科の多い食物は鼓腸を起こします また吸収不良や消化不良を起こします。
小腸の病的状態は発酵に用いられる炭水化物の増加のために鼓腸を起こします。
【徴候】
・嘔吐、下痢、体重減少、あるいは腹部の不快感(例:うずくまったり、祈るような姿勢をとる)などその他の徴候は消化器疾患系疾患が併発したことを示唆しています
・飼い主による報告
【原因】
{空気嚥下(呑気)の増加}
神経質な動物や大食の動物でみられます
特に食物に対する現実的、あるいは知覚的競争が存在する場合です
{食物関連性}
・大豆や繊維の豊富な食べ物(例:ふすま、乳糖、全小麦粉製品)及び脂肪は過剰なガス産生を起こすことがあります。
・高タンパクまたは高脂肪、または腐敗した食物は特に悪臭性ガスを生じる原因となります。
・ラクターゼ欠乏動物では、ミルク成分を含んだ食物は、過剰な放屁の原因となります。
【治療】
・鼓腸の原因、それに関連するいかなる潜在性胃腸疾患も治療します。
・食物が疑われたら、繊維の少ない消化の良いものに変え、 カッテージチーズや米に
適当なビタミンやミネラルを加えたような、消化の良いタンパク質や炭水化物源からつくられた、
商品化された食物や自家製の食物を試みます。
これはうまく鼓腸の回数を減らすのに役立ちます。
・競争相手がいない環境で、神経質な状態は避け、少量の食物を頻回与えることに
よってがつがつ食べないようにすると、空気の嚥下を減らすことができます。
・活発な運動は、直腸ガスを排出させ、便の直腸からの正常な排泄を促進するので
有効です。
'04.09.13 VT 幸柳尚子
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