◇医療情報−慢性気管支炎




慢性気管支炎の定義は、他に原因となる肺疾患がないのに、慢性あるいは再発性に、気管支(気管と肺を結ぶ、空気の通り道)の表面の粘液が多く分泌される状態、とされています。この病気は、犬では成犬の病気であり、3〜5歳以下の動物での発生はまれで、小型犬や肥満のワンちゃんに多く見られます。


【原因】
慢性気管支炎の原因は不明ですが、刺激物を慢性的に吸い込んでいることとの関連性が広く考えられています。人間では、喫煙と大気汚染物質が主な原因になっていますが、犬猫の場合は、詳しく調査されていません。また、幼若犬でかかる場合は、細菌感染が元の原因となることが多いです。


【症状】
慢性的で、治療してもなかなか治らない、「せき」が主症状です。また、色々な性状のタンを吐き出すこともあります。


【診断】
診断には、
(1)慢性的な咳
(2)その他の慢性呼吸器疾患(肺の腫瘍、寄生虫、結核、真菌性肺炎など)を除外できること
(3)明らかに粘液の分泌が多いこと(タンを吐くなど)
の3つの判定基準を満たす必要があります。また、慢性的な炎症のため、気管支の壁が厚くなるので、胸のレントゲンを撮ると、気管支が、ドーナツ型(横断面)や電車のレール型(縦断面)に確認されることがあります。また、空気の通り道が細くなってしまうため、頑張って呼吸しようとするので、肺が正常よりも大きくふくらんでいるのも確認されます。


【治療】
 さらなる細菌感染を防ぐための抗生物質、気管支を広げて呼吸をしやすくする薬、炎症をひかせてあげる薬などの内服で、大抵は押さえ込むことができます。あとは、咳がひどい時にせき止めを頓服することもあります。咳は、多すぎる粘液をタンとして外に出したり、感染していた細菌を外に出す働きがあるので、無差別に止めるべきではありません。むしろ積極的に出してあげる場合もあります。方法としては、お風呂場に蒸気をためたり(温度管理に注意!!)、動物病院で蒸気の吸引(ネブライザー)を行い、その後、軽く運動をさせて、タンの吐き出しを促します。タンを出すことによって、気管支がきれいになり、治療は成功となります。

 あとは、飼い主様に頑張って頂きたいこととして、禁煙(タバコの煙が原因となる可能性もあるのです)、ストレスや興奮からの回避(それらがせきを誘発することもあるのです)、暖かい環境での飼育(一般的に冬に悪化しますので)、太らせないこと(胸の中に脂肪がつくと病状がひどくなる)、などが挙げられます。

【予後】
 不治の病気なので、どう治療するかよりも、どう咳をコントロールするかが重要になってきます。



獣医師 斉藤大志 2002.12.25

/commgif/トップ アイコン
トップ
トップ アイコン
医療情報