◇医療情報−血管肉腫


血管肉腫は血管内皮由来の悪性腫瘍です.発生年齢の平均は犬で8〜13歳,猫で8〜10歳と高齢ですが,若い動物にも発生することがあります.様々な品種で発生しますが,大型犬に多く,ジャーマンシェパードは最も発生の多い品種という報告があります.犬と比較すると猫の発生は非常に少ないといわれています.

発生部位)
脾臓に最も多く発生します.その他に右心房,皮膚,皮下組織,肝臓,肺,腎臓,口腔,筋,骨,膀胱,腹膜などの発生が確認されています.

臨床症状)
脱力,腹部膨満,脈・呼吸数の増加,粘膜蒼白,体重減少などが最もよく報告されていますが,最も激しいものは腫瘍の破裂や体腔への急激な出血に続く突然死でしょう.小さな出血とその吸収を繰り返している場合は,脱力・虚脱とその状態からの回復を繰り返すことがあるかもしれません.
その他に,侵された部位に関連した臨床症状を示します.例えば右心房なら心嚢水の貯留や不整脈,肝臓なら肝機能障害がでることがあります.骨や筋に発生するものでは腫脹,跛行,疼痛などの症状で現れます.
皮膚型のものは孤立した硬く隆起した丘疹や結節として現れ,一般的に潰瘍形成はしません.
神経に転移することによって発作,痴呆,麻痺などの神経症状が起こることもあります.
猫の内蔵型では無気力,食欲不振,嘔吐,呼吸困難,腹部膨張を示すことがあり,身体検査によって粘膜の蒼白や腹水・胸水,腹腔内腫瘤などが検出されます.

診断)
診断は病歴,臨床症状,身体検査,X線写真,超音波検査などで進めて行き,腫瘍の生検や切除による病理学的検査により確定します.

治療)
犬でも猫でも外科手術が第一選択になります.この場合可能な限り根治的な手術を行いますが,転移性のある腫瘍ですので,ほとんどの場合,術後の化学療法(抗がん剤)を考慮する必要があります.その他に免疫細胞賦活物質などを使用した生物学的製剤を併用した研究もあります.

予後)
通常は皮膚以外にできる血管肉腫の予後は悪いです.皮膚にできるものの中で,真皮を侵すタイプのものに限っては生存期間が長いというデータがあります.

獣医師 堀吾郎 2002.4.16




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