◇医療情報−痙攣



原発性のてんかんとは,脳の原発的な機能障害(遺伝子レベルの異常のことです)を原因とする痙攣発作が、繰り返し発生することをいいます。原発性てんかんの動物は身体学的検査、神経学的検査、CT、あるいはMRI等でも異常を発見することはできません。犬では、原発性てんかんは痙攣発作の最も一般的な原因ですが、猫での発生率は遥かに少ないです。
続発性てんかんとは、炎症、外傷、腫瘍等の原因によって繰り返し痙攣発作が発生する場合をいいます。これらの原因は、犬よりも猫のほうが一般的です。

原因
脳外の原因としては、代謝異常や中毒などがあります。脳内の原因としては、感染症(猫では、猫伝染性腹膜炎、猫免疫不全症ウイルス、猫白血病ウイルス、クリプトコッカス、狂犬病ウイルス、トキソプラズマ症等が含まれます)、血管などの病気、腫瘍(猫では髄膜腫、リンパ腫)等があります。

診断
血液検査、尿検査、感染症の抗体検査などを行います。しかし、これらの検査結果は、しばしば正常なことがありますので脳脊髄液の検査やCT、MRI検査を行うことが望ましいです。

治療
痙攣発作が1回しか発現していない動物では、長期的に抗けいれん薬を使用する必要はありません。しかし、短期間(1週間〜1ヶ月)で繰り返し発作が起こる場合や脳内の病気が分かっている場合にはすぐに抗けいれん薬の使用を開始します。
抗けいれん薬にはフェノバール、ジアゼパム、臭化カリウムなどがあり、それぞれ一長一短があります。動物の状態に合わせて処方されますので、かかりつけの先生とよく話し合って投薬をして下さい。



獣医師 藤村淳  2002.9.10



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