◇医療情報−ジステンパー

 ジステンパーは古くからよく知られている犬の代表的伝染性ウイルス疾患で
す。もちろん、人間にはかかりません。よく知られている典型症状では、発熱、鼻汁分泌、くしゃみ、などの呼吸器症状や、結膜炎、食欲減退、白血球減少、下痢などの消化器症状が起こります。 さらに進展すると痙攣発作、震え、後躯麻痺などの神経症状を示します。その他にハードパット(足の裏の柔らかい部分が固くなる)などがあります。
 しかし、他の病気の併発、年齢、個々の犬の状態によって様々な症状の経過
をとるので診断が困難なときもあります。死亡率は高く、回復しても痙攣などの神経症状が残ることが多く、人間の小児麻痺と似ている病気といえるでしょう。
また、最近の例では、他の症状を全く示さずいきなり神経症状を示す例
などが報告されています。伝播経路としては、鼻汁、唾液、尿などとの接触や、近距離からの飛沫によると考えられています。
診断するには、臨床症状、そして血液中や脳脊髄液の各抗体の検出や各種材
料からの抗原検出になります。しかし、これだけでは診断に不十分なことが多く、確定診断ができないこともあります。
予防としては、早くからワクチンが開発されており、30年以上にわたってよくコントロールされています。
治療方法は、犬のジステンパーウイルスに対する確立された治療法はありません。ウイルス感染症に対する特効薬がなく対症療法が主流になっているのが現状で、死亡してしまう例も少なくありません。
つまり、予防注射がベストの予防法です。
子犬の罹患率も高いのですが成犬にも罹患しますので、うちの犬は大丈夫!
と思わずにワクチン接種は必ず行ってください。

獣医師 大風 英 2001.1.6

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