◇医療情報−陰睾 雄の生殖器官である精巣が生まれた後も陰嚢内(たまたまの定位置)に降りずに、腹腔内(お腹の中)または 鼠径部(内股の部分)に留まっている状態を陰睾(潜在精巣)といい、両側性と片側性 とがあります。この状態だと精巣が体温と同程度に温められるため、精子形成が障害をうけます。両側性の場合は生殖能力を欠くことになります。また、精巣腫瘍の発生率が高くなります。 このような場合は繁殖をしても生まれなかったり、奇形児が出たりしますので繁殖にはもちいないで下さい。 【原因】 1.精巣下降に関与する性ホルモンの不足 2.鼠径管(精巣下降の通路)の形成不全 【症状】 陰睾があっても動物の健康状態は正常であることがほとんどです。腫瘍化した場合はお腹が膨らんできたり、食欲や元気の低下がみられます。腫瘍の種類によっては、腫瘍細胞から過剰なホルモンが分泌されるために、脱毛や皮膚炎を起こします。 【診断】 視診や触診による身体検査で明らかとなります。X線検査や超音波検査では腫瘍化していない精巣をみつけることは難しいとされていますがある程度の大きさ(鶏卵大くらい)なら診断可能です。 【治療】 去勢手術を早期に施す必要があります。 【予後】 腫瘍化していないものであれば予後は非常に良好ですが、腫瘍化している場合はその腫瘍の悪性度によって様々です。摘出後病理検査で確定診断をします。 【予防】 生後8ヶ月経っても精巣が陰嚢内におりていなければ陰睾です。この段階で去勢手術をしてあげるのがベストです。 獣医師 佐藤美帆 2002.8.5 |
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