◇医療情報−皮膚糸状菌症

【原因】
皮膚真菌症は、皮膚に寄生した真菌(いわゆるカビ)が悪さを働く病気であり、寄生体として皮膚糸状菌、マラセチア、カンジダなどが重要です。マラセチアやカンジダは、少量ながらも常に犬猫の皮膚に存在するカビですが、皮膚糸状菌は病原性のカビであり、さらに人にも感染するため、人畜共通感染症としても重要です。皮膚糸状菌症は、皮膚の角質層や被毛、爪などに皮膚糸状菌が侵入、増殖して発症する皮膚疾患であり、犬猫の皮膚糸状菌症では毛の付け根の毛包に寄生するのが一般的です。
猫の皮膚糸状菌症は、8〜9割がM(Microsporumの略).canisと呼ばれるカビの感染症です。M.canisは動物に寄生するのを好むカビで、動物同士の直接的接触や、くしや生活環境などを介した間接的接触により感染することが多いです。猫はこのカビに対して強いと考えられており、一般にその症状は軽く、抵抗力のある大人の猫ではキャリアー(感染しているが症状が出ないこと)となる場合もあります。
一方、犬では皮膚糸状菌症の発生自体が比較的まれですが、その症状は猫の発症例よりも重いことが多いようです。原因となるカビは、M.canisやM.gypseumであることが多いです。M.gypseumは、M.canisと違い、土の中にいるのを好むカビで、土を掘ったり野外で活動する動物に感染することが多いです。

【症状】
猫では病変部に炎症を認めないことが多く、赤くならずにただの脱毛のようになります。脱毛といっても毛がまるごと抜けるのではなく、糸状菌に壊された毛が途中で切れて切り株のように残ります。逆に、犬では炎症を認めることが多く、赤くプックリと腫れ、さらに脱毛が見られます。
病変部は、顔面や首に多く見られ、ポロポロと皮膚がはがれたり、かさぶたになったりすることもありますが、細菌の二次感染などがなければ、通常かゆみは伴いません。

【診断】
形態異常のある毛を抜き、直接、顕微鏡でカビを見つけることが手っ取り早いです。そのほか、M.canisに感染した被毛に紫外線を照射すると蛍光を発することが多いことを利用した、ウッド灯検査などが有用です。(最近あまりやらないです)これらは診察時にすぐに結果の出る検査です。
直接鏡検やウッド灯検査で皮膚糸状菌の寄生が疑われた場合、あるいはカビは見つからなくても臨床症状から寄生が疑われた場合、確定診断をするために培養検査をします。これらは1〜2週間程度の時間を要します。

【治療】
抗真菌剤の内服と外用を行います。可能であれば、病変部の毛を刈って、抗真菌作用のあるシャンプーで洗います。また、再発予防のために、周囲の環境の掃除、消毒を行うのが理想的です。また、人畜共通感染症のため、飼い主にうつる場合もあるので、発疹が見られたら、皮膚科医(もちろん、人間のですよ)を受診することをお勧めします。



獣医師 斉藤 大志 2001.8.20

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