◇医療情報−ハイグローマ(滑液嚢腫、肘腫)



体重が重い、大きいワンちゃんが、ずっと同じ体勢でお座りをしていると、肘にタコができることがあります。これは胼胝(べんち)と呼ばれるもので、皮膚が硬くなります。これとは別に、肘の後ろ辺りがブヨブヨと腫れることがあります。この腫れは、ハイグローマ、日本語では、滑液嚢腫(かつえきのうしゅ)、または、肘腫と呼ばれるもので、関節にある滑液嚢と呼ばれる袋に炎症が起こり、水がたまってしまう病気です。「〜腫」と言われると、「え?腫瘍?」と思われるかもしれませんが、この「腫」は、「腫瘍の腫」ではなく、「腫脹、つまり腫れの腫」です。肘のハイグローマは、セント・バーナード、グレート・デーン、アイリッシュ・ウルフ・ハウンド、グレー・ハウンドなどの大型犬種に最も多く見られます。比較的若いときにできるのが普通ですが、歳をとった犬にできることもあります。


【原因】
 犬が硬い床の上で横になることで、肘が繰り返し刺激を受け、炎症を起こすことによって起こります。肘の関節にある滑液嚢と呼ばれる袋の中に液体がたまった後、さらに犬が同じ体勢で寝ていると、袋がどんどん大きく腫れていきます。


【症状】
 最初は、腫れているだけで痛みはありませんが、そのうちに炎症が進行すると、ちょっと触っただけでも痛みを覚えるようになります。治療しないで放っておくと、潰瘍化(破裂し、出血する)し、最後には、その下の骨にまで影響を及ぼす場合もあります。


【診断】
 できた場所、生活環境、症状から病気をしぼり込み、他の病気(腫瘍など)が除外されれば、診断できます。


【治療】
 基本的には、生活環境の改善が重要です。犬舎の床が堅いと、肘が当たってハイグローマになりやすいので、厚い布や毛布を敷いて、床を柔らかくする工夫が必要です。炎症が軽度の場合は、抗生物質や消炎剤の内科的治療に反応することもあります。大きくなってしまった場合は、外科的な切除や、滑液の抜去(注射器で、たまった液体を吸い取る)が必要な場合もあります。また、生活環境を改善しない限り、何度も何度も再発することがあります。肘に負担をかけないように、食餌療法によるダイエットをして、健康的なレベルで体重を減らすのも効果的です。


【予後】
 病気の原因を把握し、生活環境を整備し、再発が防げれば、予後は良好です。




獣医師 斉藤大志  2003.12.9

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