◇医療情報−肺動脈弁狭窄



生まれつき肺動脈弁が癒合,もしくは形成不全を起こしており,右心から肺への流出路が狭くなっていることにより様々な障害を起こす先天的心疾患です。


症状)
運動不耐性,失神,心不全,不整脈などいわゆる心疾患の症状を示します。
無症状なことも多く、その場合,健診時あるいは他の疾患で受診した際に心雑音が聴取されて初めて発見されます。


診断)
胸部レントゲン撮影,心電図,超音波検査(場合によっては心臓カテーテル検査,心血管造影)により解剖学的特徴を明らかにします。また,ドップラー検査により,狭窄している弁の前後の圧格差を調べることで,疾患の重症度が判定できます。


治療)
様々な外科的処置が検討されています。心臓カテーテルを使用して狭窄部を拡張する方法もありますが,弁膜が低形成の動物には効果的ではありません。中等〜重症な動物では,運動制限がすすめられます。うっ血性心不全に対しては内科的に治療管理して行きます.


予後)
軽度のものでは寿命を全うすることもありますが,重度のものは通常3年以内に死亡します。三尖弁閉鎖不全,心房細動,頻拍性不整脈,うっ血性心不全の合併する動物では予後不良です。






獣医師 堀吾郎 2002.10.15


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