◇医療情報−ブルセラ症




ブルセラ属に属する、グラム陰性の細胞寄生性小桿菌で、主にリンパ節、胎盤、雄性生殖器細胞において増殖する傾向のある、人獣共通伝染病です。
犬科の動物は飼育犬種、及び野生種共にBrucella canisの保有宿主となります。
潜伏期間は通常1〜3週間ですが、数ヶ月に及ぶ場合もあります。


症状
雌の場合は主に流産が多く、流産後の膣の分泌液は数週間続きます。
雄の場合は陰嚢皮膚炎を伴う、陰嚢の腫脹、硬化した精上体などです。
その他、慢性的な症状として混濁した目(角膜の浮腫を伴う前ブドウ膜炎)
全身的な疼痛,倦怠感,衰弱,鬱状態,不規則な発熱
などが見られます。



診断
一般的な血液検査や尿検査は、他の感染症を除外する以外はあまり意義がありません。
検査値は通常悪化していない症例では正常だからです。
血清学的テストが最もよく使われる方法です。
臨床的および血清学的所見によりブルセラ症が疑われる時は
流産した胎仔、血液、感染物質からの菌分離によって確認します。



治療
最も成功的な治療方法はテトラサイクリン(☆)とストレプトマイシンの組み合わせです。
ただし、テトラサイクリンは未成熟な子犬には禁忌です。
また、外科的処置という選択も可能です。



予防
繁殖計画がある場合、発情前に全ての雌犬の血液を検査し、雄の場合は短い間隔で検査をするようにします。
残念ながらワクチンはありません。

(☆)塩酸テトラサイクリン、クロールテトラサイクリン、ミノサイクリン、
ドキシサイクリンなどがあり、
25mg/Kg.8時間ごと、4週間の経口投与などが評価されています。


VT 幸柳尚子 2002.11.25

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