◇医療情報−ブドウ膜炎




ブドウ膜炎は犬猫どちらにもよくみられる眼疾患です。
症状の発現が非常に多様であるため、診断は困難な事があります。
ブドウ膜は中央部の、色素が密な血管膜(虹彩、毛様体、脈絡膜)からできています。
そして、ブドウ膜には前ブドウ膜(虹彩と毛様体)と後ブドウ膜(脈絡膜)からなります。
ブドウ膜炎は前ブドウ膜炎と後ブドウ膜炎に分かれます


原因
猫特有のブドウ膜炎では、リンパ腫、猫伝染性腹膜炎、トキソプラズマ症などが考えられます。
犬特有のブドウ膜炎では、ウイルス性肝炎、水晶体性ブドウ膜炎や皮膚の脱色素と被毛の白色化に関連する急性両側性ブドウ膜炎(秋田犬、サモエド、およびシベリアンハスキーなど)などが考えられます


症状
前ブドウ膜炎では、特に急性で激しい痛みを伴うことがあります。そして、結膜と虹彩の両方の血管が充血することにより眼は非常に敏感になっていることがあります。虹彩自体は肥厚、腫脹し、正常な構造を失います。房水フレアとよばれる、蛋白がもやもやとした、時に顆粒状にみえる物質を前眼房に形成することがあります。
後ブドウ膜炎では、脈絡膜が炎症性細胞や残屑で満たされます。脈絡膜から液体が漏れ出ることによって網膜下の空間にたまり、網膜剥離が起こることがあります。


診断
診断としては、眼自体の検査、一般身体検査、血液検査、抗体検査(トキソプラズマ、猫伝染性腹膜炎など)、あるいは、細胞診などがあります。


治療
原因が分かっているものについては、治療は、ブドウ膜炎を刺激するものを除去するようにします。一般的にブドウ膜炎は、抗炎症剤や散瞳剤-毛様体筋麻痺剤によってコントロールします。



獣医師 藤村淳 2002.10.25

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