◇医療情報−アクネ



 ネコちゃんのアゴの下に、黒いフケがいっぱい付いているのを見たことはありませんか?ネコのアクネは、アゴの下を自分できれいにできないことから起こる皮膚病です。ネコちゃんは、身繕いが大好きで、しょっちゅう全身をなめてきれいにしていますが、どうしても、アゴの下はなめることができません。では、どのようにしてきれいにするのか?自分の前足にだ液を付けて、それをアゴに擦り付けてきれいにします。しかし、これが下手なネコちゃんがいます。そのような子は、アゴの下が不潔になりやすく、その汚れと皮膚の分泌物が混ざって、アゴの下ににきびのようなものができます。それがアクネと呼ばれるものであり、ひどくなると、化膿して腫れたり、痛みを伴ったりします。


【原因】
根本的な原因は不明ですが、上記のようなグルーミング不足、他に、皮脂の分泌異常、免疫力の低下等が、発症の引き金になります。


【症状】
アゴの下や、時に口唇部分に、にきびのようなできものができます。赤く腫れたり、フケが多く付着し、重症例では、出血、化膿、脱毛、痛みを伴います。


【診断】
間違えやすい病気として、寄生虫感染(毛包虫など)、カビ、腫瘍、好酸球性肉芽腫などがあるため、それらを除外する必要があります。必要な検査として、皮膚の掻爬試験(皮膚を一部ひっかいて採取し、顕微鏡で観察する)、カビの培養、時に、皮膚生検(麻酔下で、皮膚の組織を採取し、病理診断を行う)が必要な場合もあります。


【治療】
軽症な例では、皮膚のこまめな消毒、抗生物質の投与により治癒します。局所的にシャンプーを用いるのもお勧めです。シャンプーのように界面活性剤(洗剤の成分)が含まれている方が、汚れが落ちやすいからです。
重症な例では、麻酔下で、一度、毛包(毛穴のこと)にたまった汚れや膿を全てしぼり出し、徹底的に洗浄する必要があります。この治療を行うと、数日はアゴの下がパンパンに腫れますが、徐々に腫れはひき、治癒します。


【予後】
治癒した後も、消毒を怠ると、再発する可能性が高い病気ですから、例えば食後、アゴの下が汚れた時等に、こまめに消毒してあげるのが良いでしょう。





獣医師  斉藤大志  2003.1.20




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