◇医療情報−白血病ウイルス感染症


白血病ウイルス感染症について猫白血病ウイルス(FeLV)は、レトロウイルス科に分類され、感染が成立すると 体内からウイルスを排除する事が非常に難しいという性質を持ったウイ ルスです。根本的な治療法がなく、1度感染し発症(約3割)すると、ほぼ3年以 内に死亡するという猫にとって最も恐ろしい病気の1つです。

FeLVの感染状況は、地域の猫の飼育形態に密接に関連しており、テリト リーを持つ猫同士(特に喧嘩の多い未去勢の雄猫)が接触する機会の多い都市部や国では感染率が高く、逆に郊外の過疎地では低い傾向にあります。当院のある甲府や八王子ではかなりの確 率で感染しています。 感染経路は水平感染が主で、持続感染猫の血液、唾液、糞尿、涙、乳汁 等から多量のウイルス暴露から感染し、グルーミングや長期間の同居、母子感染によるものが多 く、咬傷でも感染し、 妊娠胎児は80%死産してしまいます。

主な症状は発熱、貧血(白血球、赤血球等の減少)、リンパ腫瘍、胸 水、腹水の貯留、黄疸等で、比較的典型的な症状というよりは風邪?というような症状がメイン です。ウイルス感染して発症してしまった猫は、残念ながら現代の医療では 治してあげる事は出来ません。

治療は対症療法が主ですが、インターフェロンや人間でも有効なアガリスク茸の製剤を使って免疫力を上げることで本人の QOL(生活の質)向上をしていきます。
インターフェロンもアガリスク茸製剤のいずれも継続的な治療が必要で、 死ぬまでこの治療は続ける必要があります。
インターフェロンを例に取れば、当院では毎週1回の接種を推奨しています。 (これはかなり大変なことだと思いますが)

しかし、この病気を予防してあげる事は可能です。 1つは室内飼育、もう1つはワクチン接種です。 病院での血液検査(10分程度)により、陰性と判断されれば、大事な 愛猫を、定期的なワクチン接種でこの恐ろしい病気から救ってあげる事が出来るのです。

病気から身を守る最大の攻撃は予防であると我々は考えます。これは人間も同じですよね。あの時こうしてあげていれば、といったオーナーさんの声を、我々は、 聞かない日はありません。
犬猫の寿命は決して長いものではありません。 常日頃からの予防は、大事な家族の一員と1日でも長く大切な時間を過ごすというだけでなく、最終的には皆様の医療費の負担を減らす事にもつながるのです。

あくまでも、我々は、動物とオーナーさんの手助けしか出来ないので す。 コンパニオンアニマルにとって1番幸せな事、それは幸せな家族を持つ という事。達スタッフはそう考えています。


副院長 渡辺 英一郎 2000.12.26



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