◇医療情報−猫汎白血球減少症



猫パルボウイルス感染症の別名です。腸炎を起こして、嘔吐、下痢(時に血便)を起こすと同時に、著しい白血球の減少を起こす病気で、かなり致死率が高いです。
猫パルボウイルスは、とても抵抗力の強いウイルスで、猫ちゃんの体を離れた後でも、長期に渡って、病原性を保つことができます。つまり、この病気にかかった野良猫の便を、飼主様が靴底につけて帰宅し、それを舐めた猫ちゃんが…ということもあり得ます。
後述しますが、この病気はワクチンで予防できますので、室内飼育の猫ちゃんでも、確実なワクチネーションをお勧めします。


【原因】
猫パルボウイルスの感染によってかかります。このウイルスは、リンパ節や骨髄(骨の中心部分。赤血球や白血球の工場です。)、腸粘膜細胞など、細胞分裂が盛んなところに感染します。ですから、症状も、白血球の減少や消化器症状が主体です。
感染した動物の排泄物(主として便)からウイルスが排出され、他の猫ちゃんにかかります。
もっとも発症しやすいのは、生後3〜5ヶ月齢の子猫ちゃんなので、できるだけ子猫には、ストレスをかけず、他の猫や、その排泄物と接触する機会を与えないよう、室内で生活させてあげることが重要です。


【症状】
一般的な症状としては、発熱、食欲減退、元気消失が挙げられますが、特徴的なのは、胆汁の色(黄緑色)がついた液体を嘔吐する、下痢(時に血便)などの症状です。
また、胎子期や新生子の時に発症すると、眼球や小脳に異常を来すこともあります。


【診断】
血液に現れる症状として、急激な白血球減少が見られますので、血液検査と、その他の症状で診断します。


【治療】
二次感染を抑えるための抗生物質療法、嘔吐や下痢で失われた電解質の補給と脱水の改善のための輸液療法(他の猫ちゃんから隔離された入院室での入院治療となります)、吐き気止めや下痢止めなどの対症療法、血液中のタンパク質や赤血球が失われている場合は、輸血も必要になることがあります。嘔吐や下痢が収まったら、体力回復のために、食餌療法を行うのも効果的です。
発症した場合、適切な治療を施せば、通常は1〜2日で白血球は再び増加し、一週間程で、自分の免疫力で治りますが、最悪の場合は、免疫力が追い付かず、命を落とすこともあります。
それよりも何よりも、重要なのは予防です。母猫から免疫を受け取れるように、初乳(出産後、24時間以内に出る母乳)をしっかり飲ませること、母猫からの免疫がきれる頃に、適切なワクチン接種を複数回受けること、成猫になってからもかかり得る病気なので、年に一回はワクチン接種を受けることが重要です。


【予後】
猫ちゃんの伝染病の中では、一度発症した時の致死率は高いです。適切な治療を施し、ウイルスに対する免疫が体の中にできれば、予後は良好です。
しかし、一度この病気にかかった猫ちゃんは、長期に渡り、ウイルスを排出しますので、他の、ワクチンをうっていない猫ちゃんとの接触は避けるべきでしょう。




獣医師 齋藤大志  2003.11.19

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