◇医療情報−僧房弁閉鎖不全

心臓は左心房・右心房・左心室・右心室という4つの部屋から構成されています。血液はこの4つの部屋をポンプとして、右心房→右心室→肺→左心房→左心室→全身→右心房という順に一方通行で流れています。僧房弁は左心房と左心室の間にある弁で左心室から左心房へ血液が逆流するのを防いでいます。

僧房弁閉鎖不全はこの僧房弁が機能しなくなり血液の逆流が起こり、様々な症状が現れ、ひいては命を奪ってしまいます。僧房弁閉鎖不全は犬フィラリア感染症に次いで多い心臓病です。

原因
 好発犬種はマルチーズなどのトイ種(愛玩用小型犬)で遺伝的なものではないかと言われています。
高齢、犬フィラリアや細菌の感染、ショックなど様々な要因が言われていますが、多くは原因がよく分からず、健康診断時に発見されたりするのです。

症状
 無症状のものから、呼吸困難を伴う命にかかわるものまで様々ですが、現在の症状と検査結果からGradeT〜Wの4段階に分類され、それによって治療法・予後(病気が良くなるのか、悪化するのか)が異なります。
GradeT−症状は全く見られません。病院での検査で発見されます。
GradeU〜V−症状は咳、運動をしたがらない、呼吸が苦しそうになるといったものが見られます。
GradeW(末期)−呼吸困難が見られます。

診断
 胸部の聴診、レントゲン検査、心電図、超音波検査で確定診断されます。
心臓は全身に血液を送り出していますが、その機能が著しく低下するので、同時に血液検査で全身の状態を確認しておくことが必要になります。

治療
 基本的に心臓病は治りません。一生つき合っていかなければならない病気です。従って、症状を抑えて少しでも体が楽なように、そして少しでも心臓を長持ちさせるように努力します。症状を抑えるのは投薬で、そして心臓を長持ちさせるために運動制限を、肥満になっていれば同時に減量を行います。

GradeT−症状が現れていないので治療をしない場合もあります。病気は徐々に進行していくので、肥満になっているのであれば減量が必要です。マレイン酸エナラプリルなどをこの時期から投薬すると病気の進行が遅くなるとも言われています。

GradeU〜V−様々な症状が現れ、その症状に応じた薬を投与します。運動制限が必要です。

GradeW−死に直結する呼吸困難を起こしているので、酸素吸入が必要になります。

予防
 確実な予防法はありません。トイ種は高齢になるほど発症しやすいと言われているので、定期的な検査で早期発見につとめるようにしましょう。また、肥満していると病気の進行は速く、加えて動物の減量はなかなか難しいので、日頃から肥満に注意して適切な体重で維持するように心がけましょう。


獣医師 加藤 拓也  2002.1.10

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