◇医療情報−尿路結石症


尿路である腎臓、尿管、膀胱および尿道のどこかに結石が形成された状態をいう。犬の尿路にできる結石は多種多様である。結石形成の原因には膀胱炎などの尿路感染症が強く関与している。尿路に結石が形成されると結石の物理的刺激によって尿路炎症をおこす。尿管、尿道に結石がつまると、尿が排出できないために膀胱破裂や腎不全を起こして死亡することもある。

(原因と結石の種類)
尿路結石は食餌や飲み水などから摂取されたカルシウム、マグネシウム、リン、尿酸、ケイ酸などのミネラルが成分となり尿中のたんぱく質などと結合して形成される。尿路結石が形成される原因についてはいまだに不明な点が多いが、主として以下のようなものが関係している。

1、リン酸アンモニウムマグネシウム(ストルバイト)は犬の尿路結石の7割を占め  ストルバイトの形成には細菌が関与している。

2、飲水量の減少で、尿量や尿の回数が減り、尿が濃縮して結石形成を助長する。

3、マグネシウム、カルシウム、リン酸などを多く含む食餌を過剰に与えると尿中に  それらの成分が増加する。

4、内分泌、代謝の異常によるもの。
犬種によって特定の成分からなる結石ができやすいことがしられている。→ダルメシアンの尿酸塩結石が高い確立で発生する。

(特徴)
90%は膀胱と尿道でおこる。膀胱結石が尿道を閉塞する確率は尿道が長い雄のほうが極めて高い。

(症状)
結石の存在する位置によって発現する症状はさまざまである。尿管結石や尿道結石は痛みが強く発現することが多い。頻尿や血尿がおこり細菌性膀胱炎や尿道炎を合併する。その結果発熱や食欲不振などを発現する例もみられる。

(検査)
尿検査、血液検査、超音波検査、レントゲン検査で診断する。

(治療)
結石が尿路を閉塞している場合などは外科的に結石を取り除く。結石の種類に応じた食餌療法で結石を溶かしたり、結石ができにくくする。症状に応じた内科療法も併用します。食餌療法が特に重要で、一生涯療法食を食べる(それ以外のものは食べさせない)ことが再発を予防することになります。



VT 山田 尚美 2002.1.10

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