◇医療情報−犬の回虫症


◎犬の回虫症

原因
犬回虫もしくは犬小回虫の感染によって病気が起こります。どちらも寄生虫もヒトに感染することがあります。

犬回虫
犬回虫は次の経路で感染します。
犬回虫の成熟した虫卵を食べる。
犬回虫に感染した小動物(ネズミなど)を食べる。
胎盤感染によって母犬から子犬に感染する。
乳汁感染によって母犬から子犬に感染する。

感染した犬回虫の幼虫は以下のように体の中を移動していきます。
生後5週齢以下:小腸で孵化(卵からかえる)→腸壁に侵入→肝臓→心臓→肺→気管→咽頭(のど)→食道→胃→小腸(成虫)
生後5週齢以上:小腸で孵化(卵からかえる)→腸壁に侵入→肝臓→心臓→全身へ(一部は腸管内に寄生する。)
妊娠すると全身に分布している犬回虫が胎盤を通って、胎児の肺に寄生する。
授乳中の母犬では乳汁の中へ回虫が移動する。

犬小回虫
犬小回虫は次の経路で感染します。
犬小回虫の成熟した虫卵を食べる。
犬小回虫に感染した小動物(ネズミなど)を食べる。

感染した犬小回虫は年齢に関係なく、以下のように体の中を移動していきます。
小腸で孵化→腸壁に侵入→再び腸管内へ(成虫)

症状
特に犬回虫では幼虫が全身を移動しながら成長していくので、さまざまな症状が現れます。
嘔吐、下痢、貧血、肝炎、肺炎、痙攣、麻痺など。

犬は犬回虫に対して年齢抵抗性という性質を持ち、生後6ヶ月未満では症状が重くなりますが、それ以後は一般に症状は軽くすみます。
犬小回虫には年齢抵抗性はなく、全ての年齢で症状を現します。

また、回虫の感染により宿主の抵抗性が低下して、その他の病気を併発したり、病状が重くなることもあります。

ヒトでは犬回虫の幼虫が肝臓、腎臓、肺、脳、目などに移行するので、肝炎や胆石の原因となったり、発熱、呼吸困難や脳障害を起こします。
特に3歳以下の小児での発生が多いようです。

診断
寄生虫の虫体もしくは虫卵の確認で感染が確定されます。
犬回虫は胎盤感染によりほぼ100%の胎児が感染を受けるので、全ての子犬は犬回虫に感染していると考えた方がよいでしょう。

治療
駆虫、対症療法(吐き気止めや下痢止めなど)

予防
虫卵は高温と乾燥に弱く、また新鮮な便の中の虫卵は動物に感染できるようになるまでに10日間ほど必要なので、犬の便は速やかに処分し、乾燥と清潔を保つように心がけてください。
同時に野生のネズミなどとの接触がありそうならば、それの駆除を行うことでも予防効果があります。
しかし、母犬から子犬への感染を防ぐ目的で母犬に駆虫薬を投与しても効果はなく、子犬への感染を予防することはできません。


獣医師 加藤 拓也 2002.2.27

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