◇医療情報−腎不全


腎臓は、老廃物や毒素を尿として排出するほか、骨の代謝・造血、体液の平衡状態の維持などを行う。腎臓の75%以上に障害がおこると異常な症状が見られるようになる。この状態を腎不全と呼ぶ。腎不全が進行すると腎臓の機能が低下して尿として排出されるべき毒素が排泄されなくなり、毒素が体内に蓄積され、全身に障害を与える状態となる。これを尿毒症といい、非常に危険な状態になる。

腎不全には経過によって急性、慢性に分けられる。

★急性腎不全★
急性腎不全は障害部位によって3つに分けられる。
@腎前性腎不全;心疾患などに起因して腎臓へ流れる血液量の低下によっておこる
A腎性腎不全 ;腎臓そのものに障害がおこる
B腎後性腎不全;腎臓で作られた尿の排泄路障害によっておこる
急性腎不全は数時間から数日のうちに急激に悪化する。早期治療により回復の可能性はある。

〈原因)
尿路結石症(膀胱結石、尿道結石など)によって、尿路が閉塞され、尿は産出されるが排出出来ない腎後性のものが圧倒的に多い。

〈症状)
血液中に尿毒症の原因となる毒素が増えさまざまな症状が見られる。食欲不振、吐き気、嘔吐、血尿、乏尿、無尿など。急速な状態の悪化によって致死的な状態になることもある。


★慢性腎不全★
慢性腎不全は数年以上にわたる長い経過でしだいに腎機能が低下し、さまざまな障害を引き起こす。慢性腎不全で一度低下した腎機能の回復は望めない。

〈原因)
腎炎、先天性腎形成不全などによって腎機能が徐々に壊れて障害が広がり慢性化する。細菌性の膀胱炎などからも継発する可能性がある。

〈症状)
腎機能の程度によって4期に分けられる。最初の第1期は全くの無症状である。第2期になるとよく水を飲むようになる。それに伴い尿量も増加する。第3期になると、食欲にむらが見られ時々嘔吐、体重減少、貧血などの症状も見られるようになる。第4期では、尿毒症として明らかに嘔吐、下痢をはじめさまざまな症状が強く現れるようになり、痙攣などの神経症状を示す場合もある。

〈治療)
血液検査・X-ray検査などによって原因を検索、病気の程度を把握して内科的あるいは外科的に治療が可能な要因があれば積極的に治療を進め、少しでも腎機能障害の進行を阻止することが重要である。脱水、心不全、電解質異常、感染症が見られたときには輸液療法、抗生物質の投与を行う。時に、食事療法が必要とされる


VT 中村 朋美 2002.1.10

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