◇医療情報−膝蓋骨脱臼

膝蓋骨(膝の関節の前にある皿状の骨)が、正常な位置より内側あるいは外側に逸脱した状態をいいます。
小型犬種に発生が多く、特にポメラニアン、ヨークシャ−・テリア、チワワ、マルチーズで高頻度に発生します。

【原因】
外傷による外傷性脱臼と先天的異常による先天性脱臼の2種類あり、外傷性脱臼は膝蓋骨の内側または外側に加わった圧力によるもので急激な方向転換などで発生します。先天性脱臼のうち、小型犬種では内方脱臼、大型犬種では外方脱臼の発生が多く見られます。外方脱臼は外反股と股関節形成不全に関係があるとされています。

【症状】
外傷性脱臼の場合は発症が突発的で、犬種や年齢に関係なく激しい疼痛を伴い腫脹が見られます。習慣性脱臼の場合、肢は湾曲しており間欠的に跛行が見られます。外部から膝蓋骨を整復すれば容易に歩行可能になります。しかし、すぐに脱臼し跛行は徐々に増悪し、かつ持続性になります。先天性脱臼の場合は、生まれつき脱臼があるもので、生後まもなく歩行に異常が見られ加齢と共に症状が著明となって、起立困難および歩行困難となってきます。

【診断】
一般症状・触診によって容易に診断は可能です。更にX腺検査によって膝蓋骨のみならず、先天的異常に伴う滑車溝の深さ、骨の変形の程度などを確認することができます。脱臼の程度に応じて4段階にグレードを分けています。

グレード1:間欠性の脱臼で時々跛行が見られ、指圧によって容易に脱臼するが、圧迫をはずすと自然に元に戻るもの。

グレード2:膝関節の屈曲によって脱臼するが自然に回復するもの。

グレード3:触診で内方に脱臼し、手で戻るけれども膝関節の屈曲で再脱臼するもの。

グレード4:常に脱臼し整復できないもの。


【治療】
保存的療法(外固定)と外科的療法があります。前者は再発する機会が多く外科的療法が最善とされています。予後は症状の程度と関節の変化の程度によって異なり、グレード1、2の場合は良好でありますが、グレード3、4になると慎重な予後判定が必要となり予後不良なことが多くなってきます。最近は神奈川の永岡先生が開発した方法が予後良好との報告があり、当院での手術法も”永岡式”を行っています。



VT 中村 朋美 2001.9.10

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