◇医療情報−ヘモバルトネラ症


 ヘモバルトネラ症は、細菌とウイルスの中間に位置する微生物であるリケッチアの一種、ヘモバルトネラ・フェリスが感染して発症する、溶血性貧血症です。
溶血性貧血とは、その名の通り、赤血球が溶けてしまって、壊れてしまってなる貧血で、赤血球が作られなくてなる貧血とは違うものです。
このヘモバルトネラ・フェリスの感染性は非常に強く、猫(フェリス felis は猫のこと)、及びネコ科動物の間で広く伝染する大変恐ろしい病気です。本症は、猫伝染性貧血とも呼ばれます。

【原因】
 感染経路は明らかではありませんが、一般的に、放し飼いの猫に多く発生することから、ケンカなどによる咬傷(かみ傷)からの感染が有力な原因と考えられています。ただし、実験的には、口からでも皮膚を通してでも感染することが知られていますので、猫ちゃん同士でペロペロと舐め合うだけでも感染する危険性はあると考えられます。
 体内に入ったヘモバルトネラ・フェリスは、血液中に入り、赤血球の表面に付着します。その結果、赤血球が壊れてしまうこともありますし、その微生物が付着した赤血球を「異物」として認識した他の細胞が、その赤血球を食べてしまうこともあります。どちらにせよ、赤血球は足りなくなり、貧血の状態になってしまいます。

【症状】
 貧血が進行すると、目に見える粘膜(歯茎とか)は完全に赤みを失って白くなってきます。
 感染初期には発熱も多く見られますが、次第に発熱は収まり、逆に貧血が進行すると低体温になってくることも多いです。
 また、明らかに脾臓が大きくなり、お腹を触るだけでも十分に確認できる程に大きくなることもあります。脾臓の位置は胃の下なので、大抵は、左の脇腹辺りがぼっこりと腫れてきます。
 その他の一般的な症状としては、あまり運動しなくなる(貧血のため、体中に酸素を送れないから)、食欲消失(貧血や発熱などから)、浅く速い呼吸(貧血をカバーするために、たくさん酸素を取り込もうとするから)などが見られます。

【診断】
 血液中に出現するヘモバルトネラ・フェリスの検出によって診断がつきます。血液を一滴採って、顕微鏡で観てみると、赤血球の表面に付着した粒々として観察されます。ただし、この微生物は、周期的に血液中に出現するため、一回の検査では発見できない場合があります。そのため、本症が疑われる場合には、数日間、連続して検査する必要があります。

【治療】
 ヘモバルトネラ・フェリスを殺すために、抗生物質を投与します。また、貧血がひどい場合は輸血も同時に行う必要が出てきます。
この病気は、お外の猫ちゃんからの感染が、最も危険性が高いと考えられますので、予防という意味でも、猫ちゃんはなるべく家の中だけで飼ってあげましょう。


獣医師 斉藤大志 2002.4.16



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