◇医療情報−犬鞭虫



犬鞭虫は犬のほかにタヌキなどを宿主とし、盲腸、ときに結腸に寄生します。
日本では犬回虫・犬鉤虫とともに数多くみられる消化管内寄生線虫です。


【形態】
成虫:白色あるいは乳白色を示し、体長は雌虫5〜7cm、雄虫4〜5cm。
虫卵:黄褐色または茶褐色でレモン形を示し、両端に栓状の構造があります。


【症状】
成虫は主に盲腸粘膜内に体前部を深く穿入させて寄生し、吸血により血漿中の栄養分のほか赤血球も消化、利用します。重度の感染では小腸にも寄生して長期の下痢、粘血便やしぶりなどの症状がみられるようになります。また、貧血、腹部疼痛、削痩、栄養障害などの症状もみられることがあります。


【検査】
全身検査による臨床症状の確認、糞便検査、まれに血液検査が必要な場合もあります。


【治療】
駆虫薬を投与することが主な治療になります。全身状態が悪化している場合には改善のための治療を行います。


【予後】
鞭虫は高温・多湿の場所を好み、土壌から感染(土中で5年間にわたって生存することもある)ので、飼育環境の清浄化(熱湯消毒)あるいは散歩コースの変更、定期的な糞便検査をお薦めします。



                         
VT 加々美 敏子 2003.4.29

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