第九章:ワンちゃんと一緒にいられる職業

9-4:他にも色々

登場人物

尚子(27):有名会社のキャリア・ウーマン。だったが、この度、
       会社が倒産し、晴れて(?)無職に。
       現在、再就職先を求めて、就職マガジンとにらめっこの日々を送る。


 前回、盲導犬(あえて訓練士とは言わない…)になり損ねた尚子は、もはや八方ふさがりの状態で、半ば自暴自棄になり、路上で求職を行っていた。「ワンちゃんと働ける仕事下さい」…そんなことが書かれたホワイト・ボードを持ち、道端に座り込んで物思いにふける尚子。その姿はどこか、
りあるモンキー…
天才チンパンジーのアイちゃんを彷佛とさせるものであった。
 そこへ、ワンちゃんを引き連れ、肩にでっかい鳥を従えた青年がやってきて、尚子に声をかけてきた。「もしかして、新手のナンパかしら。」そう期待した尚子だったが、どうやら念願の求人だったらしい。

青年「すいません。一応、この犬と一緒に働ける仕事なんですけど…興味ありませんか?」
尚子「え?どのような職業なんでしょうか?」
青年「え〜っと…今風に言うと、ゴースト・バスターズ(幽霊退治)ですかネ。」
尚子「えっ!!なんかハイカラ(死語)な御職業ですネ。是非やらせて下さい!!」
青年「あ…そうですか。結構きついですよ。以前働いてくれてたお猿さんは、給料が現物支給のお団子じゃぁ、やっていられないってんで辞めていきましたから。」
尚子「(ん…?お猿さん?………ま、いっか)はい、大丈夫です。お供させて下さい。」
青年「じゃ、行きましょうか。」

そんなこんなで、尚子は、希望する、ワンちゃんと一緒に働ける職業に就くことに成功し、遥か「鬼が島」目指して、旅立っていった、とさ。坊や〜、よい子だ、寝んねしな…。

※そうか…桃太郎のお供ってのも、立派な職業ですよネ。鬼退治も格好良く言えば、ゴースト・バスターズか…。というバカ話は置いといて、今回は、9-1から9-3までに紹介した以外に、ワンちゃんと関連した職業にどんなものがあるかを、いくつか紹介してみよう。

 まず、今や街中でもよく見かける、ペット・ショップの店員さん。昔は、ペット・ショップというと、余りきれいに管理されず、犬の毛や臭いがきつく、周りに住んでいたら苦情を言いたくなるような店が結構あったが、現在は、かなりオシャレで、清潔なお店が多い。デパートの中にあったり、ものすごく大規模なお店もある。入り口なんかもガラス張りで、一見するとブティックかなんかと勘違いしそうなお店も数多い。
で、そのようなペット・ショップで、どのようなことをやるかというと、これも様々である。
ペット・フードやおもちゃの販売、生体と呼ばれる、言わばなまものであるワンちゃん、猫ちゃん、ハムスターなんかの販売、他にも、トリミングやしつけ教室を併設しているお店もある。
そのようなお店で働くには、どうすればよいか?その仕事のほとんどは、資格の要らないものである。例えば、ペット・フードやおもちゃの品出し、レジ打ちなんかは、普通にアルバイト募集をしている所なら、普通に雇ってもらえて、普通に働くことができる。生体の管理は、伝染病などが恐いため、バイトの中でも、恐らく熟練して仕事に慣れた人しか任せてもらえないと思う。なぜなら、子犬、子猫の販売で、一番恐いのが伝染病。一度店内で出たら、全滅になる場合もある。そうならないように、子犬、子猫を展示するケージは、かなり厳密に消毒されるし、使用した食器、掃除に用いた雑巾、手袋まで、きっちり消毒される。
気合い入れて…お掃除お掃除っ!!

なので、ある程度、伝染病に対する認識のある人でないと、店側も管理を任せることはできないと思う(でも未だにずさんな管理も所もあるので要チェックです)。生体の販売だけなら、人当たりがよく、口の上手な人でOKだけどネ。ただ、この仕事に関しても、何か資格がいるかというとそんなことはなく、必要なのは知識と経験である。その他、トリミングやしつけ教室は、必ずしも資格は必要ないが、もし、他の所でトリマーやドッグ・トレーナーの資格を取得していると、有利な場合が多い。また、愛玩動物飼養管理士の資格(後述)を持っていると、何も持ってない人よりは優遇されることがある。
ペット・ショップ店員で、唯一、絶対に資格のいる職業。それは獣医師である。ペット・ショップに常にいるということは少ないが、週に一回などのペースで、獣医師が来ていることがある。他にも、動物病院と提携しているペット・ショップも多々ある。お店に来た獣医師が何をしているかというと、その店で販売された子犬、子猫の健康診断やワクチン接種、フィラリア予防薬の処方等を行っている。販売されてから何年は無料で健康診断、などをうたっている店もあるし、やはり、獣医師が店にいた方が、買う側も安心して買うことができる。他にも、療法食は獣医師の指示がないと販売できないので、獣医師がいることで、その売り上げを期待することもできる。

 では、先程出てきた、愛玩動物飼養管理士について触れておきましょ。これは、社団法人の日本愛玩動物協会が認定している資格で、ペット・ショップ店員のように、動物を扱う職業に就く際、持っていると、何かと役に立つことがある(実務には役立ちませんが…)。1級、2級があり、2級の場合は、約半年の通信教育(テキストを配付され、それを自宅で勉強し、その間に2、3回、定期的に模擬試験のようなものを解いて提出しなければならない)と1回のセミナー出席を経て、筆記のみの試験に合格すれば、認定される。金額もそれ程かからないし、動物に関連した法律(動愛法の章を参照)や、動物(犬、猫を始め、ハムスターなどの小動物や、鳥類、両生類、は虫類、昆虫等々)の飼い方を、広く、浅く勉強することができるので、結構面白い。家で勉強できるので、通学の手間もないし、自分の好きな時に勉強できるので、別に、職業柄必要、ということでなくても、動物を飼っている方であれば、趣味の範囲で取ってみるのも良いかと思う。

 その他、どんな職業があるんでしょう?筆者も全ての職業を知っている訳ではないが、聞いたことのあるものをいくつか挙げてみよう。
一つは、ペット・シッター。要は、ベビー・シッターのペット版である。飼い主様が旅行等に行かれる場合、ワンちゃんはペット・ホテルに預けなければならない。
ワンちゃんから見ると…悪魔の城に見えたりして
でも、慣れない環境から来るストレスで、下痢をする子もいれば、食欲が全くなくなってしまう子、過剰なストレスで毛が抜けてしまう子…様々である。そんなことでは、飼い主様も心配で、おちおち家も空けられない。
そんな時に助けてくれるのが、ペット・シッターである。ペット・シッターは、留守のお宅に訪問して、その場でワンちゃんにご飯をあげたり、遊んだり、被毛のお手入れをしてくれたり、散歩に連れて行ったりしてくれる。当然、ホテルに入るよりは、ワンちゃんにかかるストレスも少なくて済むだろう。
そのような職業も、都会を中心に増えている。ただし、このペット・シッターという職業。かなり信用がないとできない仕事である。必ずしも資格は必要ないが、大切なワンちゃんを預かり、しかも、飼い主様が留守の所へお邪魔する訳だから、余程、信頼のおける人でないと任せてもらえないだろう。

あっ!!見っけた!!
もう一つは、ペット探偵。猫ちゃん程多くはないが、動物病院にも、よく迷子のワンちゃんの問い合わせがある。「雷の音にビックリして、ウチの子が首輪を外して逃げたんです。」「リードをしないで散歩してたら、いつの間にかいなくなっちゃって。」「心当たりないですか?」…そのような飼い主様の悲痛な叫びに、動物病院としても、できる限り協力していきたいが、やはりできることは限られている。待ち合い室に貼り紙をしたり、ホーム・ページに写真を載せたり。
飼い主様も、警察、保健所に連絡したり、貼り紙をしたり、ポストに投函したり、新聞に載せたり…結構大変だが、必死になって頑張る。そんな時、助けになるのが、迷い動物探しのプロ、ペット探偵である。全国探しても、まだ数える程しかいないと思うが、特に資格はない。動物の行動や習性に関する知識があり、情報収集の能力、動物を追い掛ける行動力に自信があれば、今すぐにでも開業できるだろう。常にワンちゃんと一緒にいられる職業、という訳ではないが、見つけた時の感動はひとしおだろうし、もれなく、飼い主様とワンちゃんとの絆に触れることのできる貴重な職業だと思う。

教訓:
一、第9章で紹介した、全ての職業について言えること。ワンちゃんが満足し、飼い主様が満足し、その場面に立ち会えて、自分も満足できる。そんな気持ちを毎日のように味わいたいなら、苦労してでもこれらの職業に就いてみるべし!!


次回からは、ワンちゃんの救急箱の章になります。あんな時、こんな時、応急処置はどうするのかな?



獣医師:斉藤大志



戻る