第八章:ワンちゃんに関する法律
8-3:罰則も厳しいです

登場人物
知香(21):第二章に登場した智子の友人のトリマーさん。
      定期的に東京に出かけ、トリマーの修行をしているという、
      格好いい一面もあるが、新宿に行くと人混みに酔ってしまうという、
      カントリー娘な一面も持つ。
聖子(21):知香の友人のトリマーさん。
      知香とは高校の時からの友人だが、常に知香にライバル視される、
      優等生的な女の子。


  で、前回の続きである。 慎也の罪がどの程度のものなのか、興味津々な二人は、法律に明るい、知り合いの弁護士の卵、淳(第三章を参照)を呼び出した。どうやって呼び出したかって?くしゃみ一つで呼ばれたからにゃ〜、それが私の御主人さまぁ〜よ〜…って、それじゃ、
ハクション大魔王じゃん!!(若い人、ついてこれないだろうな〜)。いや、フツーに携帯で呼ばれました。

知香「で、淳、どうなのよ?慎也の罪はどんくらいのモンなのよ?」
聖子「正直にネ。天の裁きを。」
慎也「(ドキドキ)」
淳 「え〜っと、まず動愛法27条の愛護動物虐待罪だろ…それに27条の3の愛護動物遺棄罪もあるし…え〜願いましては、100万円なり、30万円なり…」
慎也「おいおい、マジかよ…」
淳 「出ましたっ!!市中引き回しの上、打ち首獄門でございます!!」
知香「…って、あんたは大岡越前かっ!!」
慎也「市中って、やっぱり甲府市内かな…。」
聖子「そこ、本気にしない!!」

※ごめんなさいネ、分かる人にしか分からないネタで…。ちなみにネ、獄門って…みんな知ってる?「獄」はネ、牢屋のことでネ、獄門ってのは牢屋の門のことで、昔は、打ち首(首を切る刑)になった囚人の首をそこにさらしてたんだよ。どうでもいいよネ。ごめんネ。

 さて、気を取り直して、今回は、動物愛護法に記載されている罰則についてのお話である。罰則に関しては、全て、動物愛護法第五章に記載されているが、ペット・ショップなどの動物取り扱い業者に対する罰則は、あまり身近なものではないので、直接、飼い主様が関係してくるかもしれない項目のみ紹介することにしよう。

 まず、ひと〜つ。愛護動物をみだりに殺し、または傷つけた者は、一年以下の懲役、または、100万円以下の罰金に処する。これは愛護動物虐待罪ですネ。すごいでしょ?懲役よ、懲役。または100万円以下の罰金ってとこが甘い感じがするけど。もっととっても良さそうだけど、あまり言うと裁判所に怒られそうなんでやめときましょう。
 ちなみに、虐待とは、「不必要に強度な苦痛を与えること」であり、伝統行事として社会的に認められている
ワシは丈夫じゃけんの〜
闘犬や輓馬レース(馬に重い荷物を引かせて競い合うレース)等を実施する行為は、その行事を行うために必要な限度を越えて、動物に苦痛を与えるような手段、方法を用いたのでなければ、この法律には該当しない、とされている。結構…人間って、身勝手なんですネ〜。

 また、ここでいう愛護動物とは、牛、馬、豚、羊、やぎ、犬、猫、いえうさぎ、にわとり、いえばと、あひるの11種のことを指す。
また、その他に、それ以外で人間の飼っている哺乳類、鳥類、は虫類に属するものも含まれる。
以前の動物保護法では、は虫類は入っていなかったのだが、日本の現状として、カメ、ヘビ、トカゲ、ワニ、ヤモリ、タモリなどのは虫類(一つは間違いだけどネ)を飼育する人が増加してきたため、新たに加えられたらしい。ちなみにカエルは入ってないよ、両生類だからネ。グッピーも入ってないよ、魚類だからネ。さて、問題です。サメは入るでしょうか?答えは…待て次週!!ウソ。そこまで引っ張りません。答えは入りません。魚類だからネ。(素朴な疑問…イモリは両生類なんで入らないんだ? By 院長)

 で、次にふた〜つ。愛護動物に対し、みだりに給餌、または給水をやめることにより、衰弱させるなどの虐待を行った者は、30万円以下の罰金に処する。つまり、「罰としてオヤツ抜き!!」くらいなら可愛いもんだが、それがエスカレートして、動物が弱ってしまうまで追い詰めると罪になる。過剰なダイエットなんかも、飼い主様はよかれと思ってやっているかもしれないが、動物が弱ってくるまで続けたら罪になる。何事も適度に、ってことですな…。

こんな目でみつめられて…置き去りにできますか?
 で、み〜っつ。愛護動物を遺棄した者は、30万円以下の罰金に処する。これが愛護動物遺棄罪ですネ。遺棄ってのは、危険な場所に置き去りにすることも含まれるし、危険な場所に移動させることも含まれる。じゃぁ、危険な場所でなければ置き去りにしてもいいの?危険な場所に置いて、去らずに見ていればいいの?等、法律の抜け道は多そうだが…要は大切に飼えっちゅーことじゃ!!何でこんなこと、大の大人が言わなきゃならんのですかネ〜。こんな法律がなくても、皆が動物を大切に可愛がる世の中になればいいですネ。

 …と、きれいにまとめてしまいましたが、まだちょっと続きます。動物取り扱い業者に対する罰則はあまり身近ではないが、一つ、身近なものもある。それは、そのような業者から迷惑を被った場合。例えば、ペット・ショップの近くに住んでいて、そこにいる犬の鳴き声や、排泄物の悪臭、換気扇から舞い散る毛にイラついた経験のある方、いらっしゃいませんか?そのように、多頭飼育していて、周囲の環境を著しく損なうような業者がいた場合、それを改善するよう、都道府県知事が勧告を出すことができる。もし、その勧告を無視したら、「言っただろ?ちゃんとやれよ。」と、命令することができる。それでも無視し続けたら…第29条の3により、20万円以下の罰金となる。…意外に安いネ。意味あるのかしら?

 で、ここまでが動物愛護法による裁きである。この法律の下には、「犬及びねこの飼養及び保管に関する基準(以下、犬ねこ基準)」というものがある。この犬ねこ基準には、法的な拘束力はなく、ただの犬猫飼育上の基準なのだが、これを元に条例が制定されていて、それには法的拘束力がある。なので、この基準もかなり重要ということで、ちょっと勉強しておきましょう。

 まず一般原則だが、動愛法と同じものに加え、「終生飼養」が盛り込まれている。これは「キチンと一生、面倒みなさいよ。」ということであり、なんで、動愛法に記載されていないのか、不思議に思う程、重要な原則である。
 また、この基準が適用されない場合もある。都道府県知事等により引き取られた犬猫(野良ちゃんや飼えなくなった子達)、病気、ケガ、死亡により収容された犬猫、科学上の目的に利用される犬猫(動物実験)に関しては、この基準が適用されない。「じゃぁ、実験動物には何の権利もないの?」と思ったそこのあなた。そこは「実験動物基準」というものもあり、必要以上の苦痛を与えないなど、キチンと決められているのである。
 で、まずはワンちゃん、ネコちゃんの健康に関してだが、種類、発育状況に応じて、適正なエサをあげ、水をあげ、運動をさせ、保管場所を作るよう指示されている。ノミなどの外部寄生虫に関しては、これを駆除し、他の病気もできるだけ予防するよう指示が出ている。言うなれば、ワクチン、フィラリア、ノミ、はたまた避妊・去勢まで、この「どうぶつとくらすマニュアル」の第五章に載っているものは全て、この基準で指示されていることなのである。ちゃんと守ろうネ。
 次に、犬猫から人間に加えられる危害の防止に関してだが、まず、放し飼いをしてはいけない。山梨の方々〜、耳が痛い方、多いのではないですか?結構、いらっしゃるんですよネ。田舎に行けば行く程、交通事故で動物病院に運ばれる動物の数が増えるのは、このことが原因なのかもしれませんネ。都会では、ほとんどないそうですよ。また、脱出しないようにすること。時々、網戸を破って出ていった、なんて話を聞きますが、悪いのは、網戸を破った動物ではないんですよ。網戸なんて、もろい物を信用してしまった人間が悪いんです。また、繋留(けいりゅう。つないで置くこと)も義務。庭などにつなぐ場合は、つながれた犬の行動範囲が、道路または通路に接しないことが条件。結構、細かいですネ〜。また、しつけも義務。特に、飼い主様の制止に従うことが重要。つまり、
Wait!!…ヨッ、優等生!!
「Wait(待て)」や「Stay(そのまま)」なんかですな。お宅のワンちゃん、大丈夫ですか?また、運動に関しても細かく決められている。犬を制御できる人が散歩に連れていく、突発的な行動に対応できるよう、リードの点検や調節に配慮する、運動する場所や時間に配慮するなどである。

 お次は、人間の生活環境を守るために決められたこと。飼い主の方々は、自分の愛犬、愛猫により、公園や道路等の公共の場所や、他人の土地、建物等が、壊されたり、汚物で汚されたり、悪臭で不潔になることを極力避けるよう、努力しなければならない。…当たり前ですけどネ。ウンチは持って帰りましょう。
公園で
公共の場所でやってはダメですよ!!
ブラッシングなんかするのはやめましょう。動物が生活するところは清潔に保ち、ハエとかノミが発生しないようにしましょう。他人の新車のタイヤにオシッコさせるのはやめましょう。他人の新築の家の門で爪をとがせるのはやめましょう。キリがないのでやめましょう…お粗末。

 あと、面白いところでは、離乳前の子犬または子猫を譲渡しないように努めることなんかも指示されているし、あまり個人には関係ないが、ペット・ショップの人なんかには、動物の本来の形態を損なうような施術、着色等をして展示しないことなんかも指示されている。結構、町中を、頭の毛を紫色に染めたワンちゃんなんかが歩いているのを見かけるが、これをやって、ペット・ショップで販売すると、犯罪になるかもしれないので、要チェックですな…。


教訓:
一、普段、当たり前のように、ワンちゃんにやってあげていることも、実はしっかり法律で指示されている、ということを覚えておくべし!!


次回、ちょっとピン・ポイントですが、狂犬病のお注射について。これも法律で決まってるんですよ。


獣医師:斉藤大志



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