第三章:ワンちゃんを家に迎え入れるには
3-1:最初の日はどうしますか?



登場人物
淳 (29):サラリーマンをしつつ、弁護士を目指して勉強し、
      司法試験突破を狙う熱血漢。
      実家において、ブリーダーにだまされて購入した、
      6ヶ月齢なのにもう成犬サイズの、
      ちょっと怪しい、でかいヨークシャー・テリア、
      「ヨーギー」を飼っていることがトラウマになっている。
清美(25):淳の奥さん。ワンちゃんの飼育経験はないが、
      淳が仕事と勉強に忙しく、構ってくれないため、
      本物の「ヨーキー」を飼うことにした。
  ←これが本物のヨーキーね


ある夏の朝、今日はペット・ショップからヨーキーの子犬をもらってくるということで、ウキウキ気分の清美だが、なぜか淳は浮かない顔である。


淳 「今日、犬連れてくるんだろ?何時頃家に来るんだ?いや、来ちゃうんだ?」
清美「夕方行って、連れてくるけど。なんでそんなにワンちゃんが嫌なの?」
淳 「血統書は…血統書は確認したんだろーな?」
清美「えー。手書きみたいだったけど。」
淳 「(ドキッ)…また…なのか?」

※なんか、可哀想なくらいナーバスになってる淳だが…いーじゃん、別に。ヨーキーだろうがヨーギーだろうが、可愛ければ。ちなみに、ヨーギーなんて犬種はどこを探してもいませんので、悪しからず。ただの雑種でありますから。「ベンツ」と「ベンシ」みたいなもんよ(意味不明)。

ポメラニアン(本物) ポメうニアン(本当はチャウチャウ)


 さて、本題だが、今回のトークで良くない点が2つある。1つは、第一章の1-1の教訓にもある、「ワンちゃんと関わるであろう全ての人の同意を得てから、飼うべし!!」というのに反している点。やはり、淳の同意も得てから、飼うべきである。今回は、犬種を換えるだけでも、かなり淳のストレスは解消されるであろうから、尚更である。やっぱり皆に愛されながら飼われる方が、ワンちゃんも幸せだからネ。


 もう1つは今回の本題。子犬を家に連れて来る時間帯の問題である。子犬は、できれば昼間に連れて帰った方が良い。これは、ペット・ショップだろーが、ブリーダーだろーが、友達からもらおーが、どんな時でも同じである。どんな子犬でも、親犬や兄弟から離れた日は寂しがるし、別の環境に移されるだけでも、かなりのストレスを受けるものである。夜に連れて帰った場合、人は早めに寝てしまうので、新しい環境になじむ間もなく、子犬は独りぼっちにされてしまう。そのため、寂しさと不安のあまり、一晩中泣き明かされることもある。その声を勉強の邪魔と感じてイライラした淳によって、ヨーギーが…あー考えたくもないストーリーである(その前にヨーギーなの?この子は)。そんな問題も、昼間に子犬を迎え入れれば、解決してしまう。昼間なら、夜、人が寝静まる頃までに、かなりの時間があるので、子犬は辺りの様子に慣れることができる。それと重要なことがもう一つ。子犬が鳴き叫んでも、よしよしと一々なだめてはいけない。これをやると子犬は、「おっ、鳴けばコイツ構ってくれんじゃん。」と調子に乗って、半分フザけて鳴き始めるので、ある程度、無視してあげるのも教育の一環であるここは心を鬼にしないと、ネ。


                  
 また、子犬を引き取る時に、前の飼育環境下で使っていた、タオルやおもちゃなどを一緒にもらってくるのも良い。匂いの世界に暮らしているワンちゃんにとって、嗅ぎ慣れた仲間の匂いは、不安を鎮めてくれる働きをする。トイレや床敷も、ペット・シーツを使用していたのか、新聞紙か、タオルかなど、ちょっとした違いで子犬はストレスを感じるので、とりあえず連れて来た日から数日は、前と同じ物を使用し、環境に慣れたら、自分なりにお部屋もコーディネートしてあげれば良い。

それと、連れて帰った当日、ついついやりがちなのが、珍しさのあまり、子犬をいじりまわしてしまうことである。これは特に、幼児のいる家庭で注意が必要である。お子様の、「カワイー!!」「さわらせてー!!」「次、僕。次、僕ーっ!!」攻撃は強烈である。子犬は、ただでさえ独りになって精神的に疲れているのに、さらに抱きしめられたり、誤って落とされたり、休む間もなくいじめられたりしては、身体的にも参ってしまう。淳などは、「ヨーギー。お前、ヨーギーだろ?分かってんだぞ。」とか言いながら、陰湿に、割り箸でツンツンしたりしそうなので、それを止める清美の責任は重大である(良い子も悪い子も絶対に真似しないように!!)。とにかく、最初の日は、あまり子犬には構わず、しかし、無視したりもせず、微妙な距離をおいて接するのが重要である。


教訓:
一、ワンちゃんを迎え入れる当日は、昼間の内に連れ帰り、あまり構わず、時々、声をかけてあげる位で、十分リラックスさせ、環境に早く慣れさせてあげるべし!!


次回、二人はワンちゃんのお家を買いに行く。ていうか前もって買っときなさいよ。


獣医師:斉藤大志



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