第二章:ワンちゃんの入手方法
2−1:ペット・ショップで購入


登場人物
智子(23):OL一年生。長崎から上京し、現在、一人暮らし。
      家族から離れて暮らす寂しさを癒すために、
      生まれて初めて、ワンちゃんを飼おうと検討中。


とある日曜日、智子は、ワンちゃんを手に入れるには一番取っ付きやすい、
近場のペット・ショップに行くことにした。
ちなみに最初は、通販でもワンちゃん売っている、と本気で考え、
深夜までテレビにかじり付いて待っていたが、当然商品として現れず、
電気刺激でやせる&マッチョになるベルトを衝動買いするに至ってしまった。
まぁ、デカいワンちゃんの散歩の時には、筋肉がついてたほうがいいかもネ。

店員「ワンちゃんをお探しですかー?ウチのは皆、健康ですよー。
   太ってなくてスリムだしー。健康だからワクチンもうたなくていいしー。
   ほら、このお尻の汚れ。便秘もせずにウンチが出てる証拠でしょー?」
智子「今ならもう一匹ついて、さらにお得なこのお値段!!ってのはないの?」
店員「…またのおこしをお待ちしておりまーす。」



※智子も智子だが、こんなひどいペット・ショップも最近は珍しい。
動物を手に入れるにあたって、最も一般的な方法は、やはりペット・ショップからの購入である。ワンちゃんを飼うことを確実に決めていて、しかも飼いたい犬種が決まっているのであれば、いきなりブリーダーさんの所に問い合わせるのも一つだが、普通は悩んだまま、なんとなくペット・ショップに行ってみる。で、実際にワンちゃんを見てみて、触れてみて、色々な店を見たり、家に帰ってからも考えたりして、悩みに悩んだ結果、購入を決める。
そういう点では、やはりペット・ショップが一番お勧めである。ペット・ショップに一度でも行ったことがある人は分かると思うが、展示されているワンちゃんやネコちゃんを眺めていても、店員さんはあまり強引に購入を勧めてきたりはしない。なぜなら、そんな客のほとんどは冷やかしだからである。つまり、声をかけても、「見〜て〜る〜だ〜け〜」の客がほとんどなのである(ちょっと古いな)。デートの途中に、金がかからないし可愛い動物も見られるし、ということで来ているカップルもいれば、買い物途中であきてきた子供をあやすために来ている家族連れもいる。だから店員も、流行りの服を売らなきゃならないカリスマ店員のようには、積極的に客に話しかけてきたりはしない。それを逆手にとって、ゆっくりじっくり店を選び、ワンちゃんを選び、ちょっと「いいかな」と思ったワンちゃんがいたら、そこで初めて店員さんに声をかけてみれば良い。それでちょっと触らせてもらったり、詳しい性格なんかを聞いてみて、ダメならまたやり直しで、全然構わない。ワンちゃんは、存在的にも金額的にも、デカい買い物なので、妥協は絶対に禁物である。
智子は、ただ単に、「近場の」ペット・ショップに行ったが、ショップ選びも重要である。獣医師という仕事をしていると、「あのペット・ショップから買われた動物は、よく伝染病になる」などという話を、たまに聞く機会がある。ペット・ショップは、動物を扱っている業種の割には、それを経営するのに、獣医師免許を必要としない。必ず獣医師を置く必要はないのである。動物愛護法でも、「動物販売業者は、購入者に対して、動物の適正な飼い方について必要な説明を行い、理解させるように努めなければならない」とあるが、破っても、余程ひどくない限り、罰せられたりはしないだろう。だから、ショップによっては、かなり動物の管理がずさんな所も出てくる。ずさんにする気がなくても、知識がなくて、自然とそうなってしまう所も出てくるだろう。実際、知識がないのは当たり前!等と開き直るペットショップも存在する。(皆さん気を付けて!)ペット・ショップは、多数の動物を扱っているので、一番恐いのは伝染病である。どのような病気があるのか、どのように伝染するのか、どうやれば予防できるのか。それを、店長含めて全ての店員さんが完全に理解しているショップが理想的である。そのような、徹底した衛生管理のできている、安全なショップを見つけるにはどうすれば良いか?情報収集である。近くの動物病院に聞いてみるのもいいし(ショップと癒着してたら…ダメだけどネ)、近くの公園で集まっている犬好きの人達のうわさ話を聞いてみるのも良い。一番良いのは、ペット・ショップの店員さんに聞いてみることである。あらかじめ、自分で少しワンちゃんの伝染病などについて勉強して(当院ホーム・ページの医療情報も参考に!!)、何気なく聞いてみる。で、答えられなければ…ちょっと怪しいかな。とにかく、ワンちゃんを選ぶ前には、そのワンちゃんを扱っているペット・ショップを、厳密に審査する必要がある。(かなりこれが重要ポイント!)
店が決まったら、次は犬選びだが、これも、さっき例に挙げたのは全て悪い例である。ペット・ショップで扱っているのは、大抵、2〜3ヶ月齢くらいの子犬なので、そんな子犬がやせていたら大問題でしょ。健康な子犬は、体がかたくしまっていて(堅太り、つまり筋肉太り)、抱くとズシリと重みを感じるはずである。毛づやも良くて、子犬特有の柔らかい毛が、フワッと立っているはずである。目は生き生きとしていて、目やにや鼻水も出ていない。足も曲がってないし、歩き方もしっかりしている。で、当然、離乳は終わっているので、かたいウンチをしているため、お尻は汚れないはずである。汚れるのは、下痢をしているか、ウンチの上に座る癖があるか、キレの悪いウンチをしているか、である。お食事中の方、申し訳ない…。ウンチ、ウンチと連呼してしまって。でも、ウンチは重要な健康のバロメータなんですよ(計6回)。とにかく通販と違って、その場で触ってチェックできるのだから、よーく健康状態を確認してから選ぶように。あとワクチンは…健康でも、うたなきゃダメよ。それはまた今度の機会に。


教訓:
一、ペット・ショップで購入する場合、ワンちゃん選びだけでなく、ショップ選びも徹底的に行うべし!!
二、ワンちゃんを選ぶ時は、可愛らしさだけでなく、健康面を重視して選ぶべし!!最初に転んだら最悪よ。



次回、智子はブリーダーからの購入を考える。おまけの一匹をせびるのは、もうやめよーネ。

獣医師 斉藤 大志


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