◇第2回 犬猫のノミ関連製品編

第2回はノミに関連した商品です。これも結構“買ってはいけない”ものが多いようです。ぜひ参考にして下さい。

【ノミ取り首輪】
ペットショップ、ホームセンターで最も良く見かけるカラフルなタイプなどがあります。しかし、これらは残念ながら、表面に寄生したノミを駆除する効果はほとんどありません。実際に、買ったばかりの市販のノミ取り首輪を付けているのに診察してみるとノミがウヨウヨ!といった事は非常に多く経験します。

理由@ まずこれらの製品の多くは天然成分を利用したもので、ノミ成虫を殺して駆除する程の作用はありません。もちろん、接触すれば弱らせたり、(首輪付近から)嫌って逃げ出させる程度の効果はあります。

理由A有効成分が広がる訳ではないので、局所でしか働きません。つまりノミ自身が首輪に接触あるいは近接しないと効果が発揮できません。ノミが首の周りだけに寄生するはずはありませんよね。


【ノミ取りシャンプー】
これも単独使用で、ノミを殺す効果は得られません。洗った直後は確かにノミが死んだように見えるけども、あまり減らない、といった声をよく耳にします。

理由:シャンプーの場合、薬液が体全体に接触させるので、メーカーも強い殺虫成分を使えないということもあるでしょう。シャンプー直後はノミは仮死状態になっていますが、そのまま放置すると、一部のノミは復活して再寄生するのでキリがありません。では、動けなくなったノミをノミ取り櫛で取ってはどうか?、、、、、うーん、十数匹程度ならいいですが、大量寄生の場合は、、、、(それが趣味の人は別として)現実的ではないでしょう。


【ノミ除けのアロマオイル】
通販なので良く見かける、流行系のおしゃれな感じがしますが、やはりノミの駆除という目的では、ほとんど効果はありません。

理由;基本的に駆除と言うより、忌避剤(ノミが近づくのを嫌がる)ですので仕方ないのかもしれません。


ワンポイント・アドバイス


まずかかり付けの動物病院に相談するという事が大事です。ノミの寄生は様々な病気(皮膚病や消化管内寄生虫)を引き起こす原因にもなるので、ペットによってはそれらの治療も同時に行わなければならない場合もあります。また、大量寄生や室内飼いのペットの場合は、1回限りのノミ取りではなく、完全駆除を目指した知識と時間、お薬が必要になります。ちなみに人間も刺されますし、中途半端な駆除ではすぐに元の状態に戻りますからノミの生態についても良く知ってもらう必要があります(詳しくは医療情報のページを見て下さい)。動物病院は高い!というイメージがありますが、これらの製品はそれほど高価ではありません。また、効かない製品を使って病気を引き起こすよりも、効果のある製品を使って健康でいた方がずっと安く済むと思いませんか?

以下に動物病院で処方されるノミ駆除の主なものを記載しておきます。

@滴下式ノミ駆除液
1998年春から国内販売が行われるようになった新型のノミ駆除薬です(まだ発売2年なのにかなり普及しています)。これらは使用が簡単なうえ安全性も高いので、最近最も良く使用されるタイプです。有効性も非常に高く、ノミ成虫については100%ちかく確実に駆除できます。
以前にあった同じような形のもの(有機リン製剤)とは違い、体内には吸収されず基本的に体表面で作用します(犬猫はもちろん人間などの脊椎動物に対し有害作用がないのです)。現在、フロントライン(左;メリアル全薬)とアドバンテージ(右;バイエル)という製品があり、当院でも一番お薦めしている駆除薬です。これらはホントに良いですよ!




Aスプレー式ノミ駆除薬(写真)
滴下式ノミ駆除薬と同じ薬効成分のスプレータイプです。幼若動物でも使用でき、速効性も非常に早いのが特徴です。ただし全身に散布するので、長毛種や体の大きなペットでは少し手間がかかります。安全性や有効性は滴下式のものと同じです。







Bノミ取り首輪
動物病院で処方されるノミ取り首輪は、市販品と異なり有効性が高いです。ただし、市販品と比べるとデザインやにおいが今一つですね!?また、人間の子供が触れた場合や、抜け落ちた首輪をペットが噛んだ場合の安全面には注意が必要です。





Cノミ取りシャンプー
ノミ駆除を目的としただけであれば、動物病院の物も市販品も、効果はそれ程変わりません。理由は前述の通り強い薬剤を使いにくいためです。しかし病院で出されるノミ取りシャンプーは、皮膚病の治療などにも使用される低刺激性の薬用殺菌シャンプーなので、皮膚病や掻き傷がある場合はそちらと両方の目的で使用できます。ただし、基本的には単独でのノミ駆除は完全ではありません。




D飲み薬
これには、ノミの成虫駆除タイプ(短時間の作用のみ)と、成虫には効かないが卵や幼虫の発阻害剤が含まれたタイプ(長時間作用)の2種類があります。安全性も高く、錠剤や液体の飲み薬なので比較的簡単に治療ができますが、単独使用では充分な効果が得られません。


E注射
前述した飲み薬の発育阻害剤タイプのもので注射薬があります。これは一回の注射で約半年間有効という事ですごく良さそうに聞こえますが、成虫には効きませんので単独での使用は適用をよく考える必要があります。早く治療効果を上げたい場合や頻繁に再寄生を受ける状況では、親ノミを駆除しないために効果が出にくいでしょう。他の成虫駆除薬と併用するのが有効な使い方となります。ちょっと割高です。


☆いずれの治療を行うにしても、よく動物病院と相談して治療方法を決めるのが,最も確実で近道です。動物病院と飼い主さんが力を合わせ、痒みの無い快適な生活をペットにおくらせてあげましょう!


獣医師 音成 伸悟


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買ってはいけない