◇第1回 ハムスター編


私“ドクターをと”が好きなハムスター関連をチェックします。
良く見られるのはハムスターのスターターキットの間違いです。最近は改良されたものも出てきていますが、まだまだ危険が潜んでいますヨ。

【飼育ケージの間違い】
Case 1. 最も危険の多い金網式の2,3階タイプ

理由@ハムスターとリスは違う動物です。
何言ってる(書いてる)の?と思われるでしょうが、重要な事です。本来ハムスターは地上や地下で生活し、リスのように樹上生活はしません。体型も地下生活に合った短い手足とずんぐりした体をしています。また、極度の近視なのである程度の距離や高さがあると認識できません。このため2階や3階といった上方向への移動は本来必要ない訳です。

理由A怪我の元
理由@と関係しますが、よじ登ってケージの高い所から落ちたり、金網に足を引っ掛けたり、梯子を踏み外したりして捻挫や骨折を起こす危険があります。さらに顔を横にして金網を齧る事で、傷ができたり、ひどくすると歯の破折や不正交合を引き起こしたりと多くの危険をはらんでいます。


Case 2. 最近増えてきたのがプラスチック製でハウスタイプや何個か連結 できるタイプです。これらは非常に凝った造りになっており、まるでリカちゃんハウスのようです。よくは出来ていますが、これにも危険が隠れています。

理由@大脱走!?
窓や扉が多いため、閉め忘れて朝見たら“いない、、”なんて事もありそうです。
理由A蒸し蒸し?(-_-;;) 金網式ケージに比べると通気性が悪く湿気がこもりやすい。また、複雑な構造ゆえに掃除が不充分になりやすく、不衛生な状態から病気を引き起こす可能性があります。
理由Bトンネルは好きだけど、、、、
横方向のトンネルは良いのですが、縦方向のトンネルではやはり落下の危険があります。

理由Cコミニケーションは、スキンシップから。
まれに、なぜかベランダが付いているケージもあります。これはオーナーとのコミニケーションの場所らしいのですが、やはりきちんとケージから出して触ってあげた方がいいでしょう。まして落ちた、逃げたとなると何にもなりませんね。


ワンポイント・アドバイス
おすすめは、シンプルなプラスチック製の水槽ケージです。
欠点は金網式ケージに比べて湿気がこもり易いという点が上げられます。そのため、食事や水の管理をキチンとし、梅雨時期から夏は頻繁に掃除をしてあげるようにしましょう。






【遊び道具】
定番はやはり回し車ですね。ただし、ケージ同様に金網などのシンプルな梯子式は足を踏み外すため、使わないようにして下さい。付属セットだとこれが普通ですが、特に体の小さい個体では危険です。






ワンポイント・アドバイス
おすすめは、プラスチック製で足の入る隙間のないもの(写真右)や球状のもの(写真左下)が良いでしょう。特に球状タイプは、ケージの掃除の間入れておけるし、スタンドを外せばコロコロ転がって行くので見ていても結構楽しいですよ。あとは、梯子式のものでも外側に紙を貼って(写真右下)怪我をしないように一工夫してみるのもよいのではないでしょうか。






【巣 箱】

付属の巣箱には色々ありますが、何でもサービスで付いてりゃ良いというものではありません。開閉式のフタがないものや、開けにくいものはダメ!!

理由:掃除がしにくいので不衛生になる。病院で診察する際に取りだせないなど問題ありです。

ワンポイント・アドバイス
思いきって買い替えるか、作るかしましょう。個人的には、ボロくなったら捨てて交換できるトイレットペーパーの芯が一番と思いますが、、、。


【給水方法】
お皿タイプは問題外。吸い口式の給水ビンも漏れるようなものはダメ!

理由:お皿ではひっくり返したり、床材が混じったりして不衛生になります。吸い口式の給水ビンも結構漏れてポタポタ垂れる物があるので、ケージ内が多湿状態になります。付属の物などは特に多く、使用前に十分チェックが必要です。

ワンポイント・アドバイス
ハムスターは本来乾燥に強く多くの水分を必要としません。ですからゴクゴク飲むような量の水は不要ですが、全くいらない訳ではありません。実際には食事の内容によって決まります。後でも記載しますが、十分な生野菜などが与えられている場合は、ほとんどいりませんが、乾燥した固形フードのみでは必要となります。

【食 器】
これはあまりチェック必要ないかなあ。ひっくり返されにくいものであれば良いでしょう。

【床 材】
この選択は非常に大切!多くの病気が間違った床材を原因として発生しますヨ。

Case 1. 木くず(パルプチップ、シダーチップ)はダメ!
理由:アレルギーや接触刺激によって、皮膚病や結膜炎,鼻炎,気管支炎を引き起こします。特に皮膚病と結膜炎はチップ材が主な原因となる事が多く,別の床材に変えるだけで治癒する事もあります。

Case 2. 綿はダメ!
理由:綿は特に巣材として売られているようですが、特に仔ハムスターやドワーフ種などでは繊維が足に巻き付いて血行障害を起こすといった事故もよく見かけます。

ワンポイント・アドバイス
 おすすめ床材は干草、ワラ、新聞紙、ティッシュなどがよく、定期的に
交換して乾燥して清潔な状態を保ちましょう!


【食 事】
ヒマワリの種を主とした食事はダメ!ヒマワリの種だけの食事やヒマワリの種が多く含まれた食事はバランスが悪くなります。理由:ヒマワリの種はその他の種子類と違って成分のほとんどが脂肪と炭水化物で、ハムスターが必要とする蛋白質やビタミンなどが不足しがちです。色々な種子が含まれたミックスタイプも、結局ハムスター自身がヒマワリばかりを選んで食べてしまうために、やはり栄養の過不足が起こります。逆に脂肪が皮下や肝臓などに蓄積されるため、いわゆる“太った栄養不良”という状態を引き起こし、様々な病気に罹り易くなる訳です。
ワンポイント・アドバイス
おすすめは固形タイプのハムスターフードに、野菜や果物・少量の動物性蛋白を加え、さらに干草やワラも与えてあげて下さい。

【その他】
ハムスターのお散歩セットと称した胴輪タイプのリード
理由:これを付けて、一体どこを散歩すると言うのでしょう?からまったり、逃げたり、上手く付けられなかったり等問題ばかりでおすすめできません。


以上ハムスターの飼育についてペット用品の多くに間違いがある事がお分かりになったと思います。今回ここで取り上げたものは、出来れば買わないほうが良いでしょう。
小型の動物だからこそ飼育状態をきちんとして、事故や病気を予防することは、ある意味でオーナーさんの義務であると私は考えています。できるだけ良い環境で飼育し、ハムスターも皆さんも,ともにハッピーになって下さい。

獣医師 音成 伸悟 


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買ってはいけない