院長の炎のコラム



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[卒後教育の必要性]----2002/11/25(Mon) 21:30
当コラム愛読者の皆様、ご無沙汰しております。
今回は私がいつも危惧している動物病院業界の将来について述べたいと思います。

さて、私たち獣医師はどのようにして臨床医になるかを知っている飼い主さんたちはそれ程多くはないでしょう。
だって、動物病院という”城”さえ作ってしまえば、その過去の経験なんて誰も知る余地はないのですから。
みんな”院長先生”ですよね。
 通常の臨床医のパターンは獣医大学に6年間行って、国家試験を受け、代診と呼ばれる研修医として各個人病院に入ります。
病院を1−2件入れ替わり、4−5年後に開業です。
ところが(と言っていいのかどうか)最近は結構、臨床とは全く関係のない仕事をしてきた後、開業する人も増えているようです。私はこういう人が悪いと言っているわけではなく、きちんとした技術が身に付くまで研修して開業すれば何も言いません。でもこういう人は大抵、研修1年ぐらいで開業してしまうのです。
ここで何を言いたいかというと開業獣医師の年齢と経験と実力は相関関係にはないということです。この先生結構年齢いってるし、貫禄あるんで安心!なんて思ってはいけないのです。
で、こういうことはこの業界では良くあることで、その先生に満足する飼い主さんがいれば何ら問題とはならないでしょう。
問題はもっと深いところにあるのです。
以前にも述べましたが日本の獣医大学は臨床家を作るのではなく、公務員、とりわけ日本の食を守る人間=畜産用の獣医師を作るのが目的です。
確かに50年前ならそれでも良かったのですが今の世の中、ほとんどの食を輸入に頼っているこの日本で畜産にたずさわる獣医師は小動物を診療する獣医師と比べ激減しているのです。
実はこの問題も私たちが”あーじゃ、こーじゃ”言ってもどうにもならない問題なのです。
とは言いつつも努力をしている先輩獣医師の方々がいらっしゃいますので今後2ー30年後には少しは変わるでしょう。(大学教育を根底から変えなければならないので一筋縄ではいきません)
じゃあ、今、私たちはどうすればいいのでしょう?
大学教育に期待できないので登場するのが”卒後教育”なのです。
はっきり言って大学を出ただけで一定の臨床レベルにはほど遠すぎるんです。じゃあ、各病院での2−3年の代診で一定レベルに到達できるかというとこれまた無理な話です。なにせこれも何回も言っていますが診療レベルは病院によって様々なのです。
きちんとしたプログラムでちゃんとした臨床医を送り出す病院はあるにはありますがそれ程多くは存在しません。逆にいい加減なことをやる病院(科学的データーでものを言うのではなく経験則が最大の武器→理論は通じません!)も相当数存在し、それに気付けばいいのですが、真っ当な道を進めますが、1ヶ所だけのいい加減な病院で研修して、そのまま開業、なんて事になれば自分は間違ったことをやっているとは知らずに日々診療してしまうこともあるのです。
しかし、ここでも救いの道はあり、卒後教育とよばれる研修会に参加すれば”あー自分は何をやっていたんだろう!”なんて気が付くのですが、悲しいかな、真っ当でない病院の先生ほど研修会に参加しないで”研修会のため休診”などといいつつゴルフに行っちゃうのです。
10年前なら研修会も数えられるほどしかなかったのに、今は同じ日にいくつもあるんでどれに行こう、と選ぶのに迷うくらい研修会はあるのです。
今後はバラバラにやっている研修会も統一して、系統立てたものになるともっと短期間で効率的な研修が出来るでしょう。
さて、お話変わって、人間のお医者さんでは、平成14年4月から医師の卒後臨床研修が必修化されることが決まっています。残念ながら私たち獣医師には全くこのような話しはありません。
数々の獣医療への不信の続発や、飼い主さんの権利や意識の高まりによって、飼い主さんが考える臨床獣医師と現場の臨床獣医師とのギャップがだんだんと大きくなっています。
それを埋めるためにも今まで話したような研修会が必要であり、更に今後、医師のような臨床研修が必要になるのです。
ただ私たちがとる臨床実習は医師の世界とは違い、大学教育に頼らずに個人的に対応しなければならないのです。
次世代の教育をふまえた臨床をやっていくのです。
実際、今までに臨床経験3年です、という獣医師と多く接しましたがそのほとんどの人たちは手術が出来ません。
出来る出来ない、という話しでは出来るのかもしれませんが、如何せん経験不足です。
1年間に数頭の手術では技術の向上はあり得ません。
このような実態を少しでも早く改善したいと思っております。
大阪ではすでにネオベッツグループが先陣を切って新人教育にも人力を尽くしていると聞きます。関東地方でもこのような動きを大きなウェーブにして教育用の動物病院を作っていこうと考えています。
この業界には旧態然とした体質があるので前途は多難なのですが、飼主の皆様方の協力を経て日々邁進していきたいと考える今日この頃です。

P.S. 先日このコラムを読んだ方から飼主を不安に陥れるとんでもないHPだとのお叱りのメールを頂きました。世の中には様々な感じ方があるんだと痛感しつつ、今後もこのような考えの方を変革すべく、様々なエピソードを交えながら燃えていきたいと思っております。皆さん、物事の一面性だけにとらわれてはいけませんよ!


[獣医師にとって大切なこと]----2002/10/06(Sun) 20:12
今回は飼主の方々から寄せられた質問についてお話ししたいと思います。
その第1弾として”獣医師にとって大切なこと”のお話をしたいと思います。
皆さんもこんな事、あんなこと、どう考えているか?など知りたいことがありましたら院長宛メールにどしどしご質問下さい。すぐには回答できませんが近い将来このコラムで綴ってみたいと思います。

さて、獣医師にとって大切なこと、皆さんはどんなことを考えますか?
動物が好き、動物を可愛がる、医学的知識がすばらしい、手術の技術が優れているなどなどたくさんあると思います。
私はこれらのことは獣医師として最低限必要なラインであると思っていますので以上のことは当然です。
でわ、何が大切か?
私は”社会貢献”であると思っています。
これは野良猫(犬?)を無料診療するということでも、ボランティアをすることでもありません。というと語弊がありますね。やはりこれらのことは含まれますが。
一般的に言えることですが今の獣医師にはこの社会貢献という概念が少ない、というより欠如しているといっても過言ではないでしょう。
欧米で尊敬される職業の上位3つは、獣医師、弁護士、医師です。
日本では医師、弁護士は登場しますが獣医師は登場しません。
一般論として獣医師は尊敬されていないんです。
当然、動物を治療する、と言う面では尊敬されるのでしょうが…
でわ、この違いは何でしょう。
昔から動物病院は治療費が高く、獣医達はあくどく儲けている、とよく言われてきました。
そのような人たちはもちろん少数いるでしょうが、その他の大多数はそんなにあくどいことをやっているとは思いません。
それでも悪評が立つのはただ単にお金儲けをしているだけで利益を還元していないからなのかもしれません。
この還元とはボランティアも然りですが地域に何かアクションをおこす、と言うことを指しています。
動物が具合が悪くなるのに時間は決まっていません。
なのに人間同様に夜間対応をしている所はごくわずかです。(救急医療)
やっていても個人レベルでの対応がほとんどで獣医師会単位では皆無です。(全国で1-2箇所?)
獣医師会とはいわないまでも地域の有志でもほとんどありません。(東京の八王子ではやっています)
このようなことはほんの一例ですが他にも社会に対し、私たち獣医師しかできないことはたくさんあるでしょう。
忙しい日々の合間を縫って社会に貢献することこそ、私たち獣医師にとってとても大切なこと、ではないでしょうか。
社会貢献あってはじめて私たちの地位も向上するでしょう。
別に地位の向上のために仕事をしているわけではありませんが、社会に認められてこそ本当の獣医療になると思います。
法律上では依然、物扱いの動物を、私たちの手で人間同様の地位に上げるためにも日々研鑽していきたいと考える今日この頃です。


[診断の流れ〜これが王道]----2002/09/17(Tue) 18:08
このコラムもちょっとペースダウンで月1になってしまいました。英気を養って毎月2本を復活させたいと思います。
さて、最近、当院のHPヒット数がかなり上がっているのに皆さんは気付きましたか?実は某有名サイトにリンクして頂いた影響のようです。(動物と無関係のサイトです)当院のHPカウンターは制作者のこだわりで”更新”すればカウンターが増えるようなインチキカウンターじゃないそうです。それでも1ヶ月に1万人以上のアクセスになっています。ご愛読感謝です。

本題に入りましょう。
当院にはHPの医療相談を含め、全国各地から電話やメールで様々な相談が寄せられます。
その時に毎回のように思うことがあります。私たち獣医師を含め飼い主の皆様も動物を治療することはどういう事か分かっているんだろうか?と思うのです。
確かに動物を治療する方法は一つではありません。
でもスタンダードというものが存在するのです。
今回はその診断のアルゴリズム(問題を解決する手順)についてお話ししましょう。
人間の世界でもいわれていますが医療の基本はEBM(Evidence Based Medicine)=患者のケアについて現在ある最良の根拠を良心的に慎重に用いること、です。
私たちの獣医療も同様なのです。

流れについて説明しましょう。

@飼い主さんが動物の異変に気付いて動物病院に動物を連れて来ます。
A獣医師が診察します。
 まずは問診、視診、聴診、触診から入ります。

さてここからが問題となり、各病院によって対応が大きく変わってしまいます。

B分かりやすい疾患、もしくは勘で治療する先生は、ここで診断を下し、即治療です。
たぶん多くの疾患はこの部類に入っていくと思います。
また、見た段階で高度医療が必要だと判断した場合は、専門的なことができる病院への紹介を行うと思います。
その病院では治せないのがわかっているのにつけ刃的な治療をする病院も見られることも事実ですが…

Cこのときに診断が下せなければ、各種検査にはいるのです。この中には病院内ですぐに結果の出せる、便検査、尿検査、血液検査、レントゲン検査、心電図検査、超音波検査、皮膚検査などが含まれます。
大部分の疾患はこの結果で診断が下せるでしょう。
また、病院内ではできない、動物を必要としない、組織や検体(血液など)を検査機関に送って検査することもあるでしょう。
もちろんここでも診断のつくときとつかないときがありますが。

Dそしてここまでやっても診断が下せない、もっと高度な検査が必要となると大学病院の登場です。
CTやMRIとなると人間でもなかなか個人病院にはありませんよね。やはり大きな総合病院、動物の場合は大学病院なのです。
ただこの大学病院(もちろん動物の)、日本には獣医大が16校しかありませんので、大学病院がない地域もあるでしょう。

Eそしてここまで来てはじめて最終的な診断が下る、ケースもあるでしょう。そしてレアケースでは診断がつかないことも考えられます。

Fここまで来て診断がつかなかったらどうなるか?
その時は一番疑わしい病気を考えて診断的治療、となるのです。

ところがこの診断的治療、かなりの確率で初期段階で行われています。
別にそれが間違っていなければ良いのですが、よく見るケースではレントゲンを撮れば分かったのに、ただ注射と薬の投薬で悪化。
血液検査をすれば臓器の障害が分かったのに、手遅れ。
というのがあるんです。

検査をするにはお金がかかります。
何も無駄な検査をしているわけでもありませんし、(そういう病院も存在しますが)検査ありき、といっているわけでもありません。
診断を下すにはそれ相応の根拠が必要であり、それが各種検査、という客観データーなのです。

前にも言ったかもしれませんが、私は最強、最上、最良の獣医師(医者)は、道具は聴診器一つ、五感の全てを使って診断できる人だと思っています。
とうてい私にはできないことですが…
しかし、少しでも検査を少なくして、クライアントや動物に負担のかからない獣医療を提供しようと思っています。

決して、まず診断ありき、といっているわけではありません。でも、ある程度の目安をつけない限り治療もクソもありません。
幸運にも(不運?)このコラムを読まれた動物好きの方々が、診断、治療とはこういう流れなんだ、と再認識して頂ければ、私の日々の研鑽も役に立っていると思う今日このごろです。


[がんばれ若造!]----2002/08/10(Sat) 01:00
最近病院で院長の姿を見かけていない、といわれますがそんなことはありません。夏休みも取らず(当たり前)、しっかりと診察しているのでご安心ください。(これもあったりまえなんですけどね)

と言いつつも今週の水曜と木曜は都心で行われた講演会に行ってきました。(私は診療お休みです)今回の講演会はアメリカ人講師を招いての内分泌学のセミナーでした。
講演会、勉強会、学会は山ほどありますが本当にためになる最新の獣医学を学べる機会はそう多くありません。
今回行われた講演会はそんな中でもかなりためになる最新の獣医学を取り入れたものでかなり充実したものでした。
2日間とも200人近く(のべ400人)が参加していたのですがその大半は30歳前後の若手獣医師たちでした。
もちろん各病院の院長レベルの先生たちも数多く参加しているのでしょうが勤務医や研修医といった先生たちが多く参加されている印象でした。
さらに半数近くが女性獣医師たちなんです。
これは時代の流れで今の獣医学部卒業生は半数以上が女性です。そして女性の大半は小動物臨床(いわゆる動物病院)に進むと言われています。
必然的に動物病院勤務の女性獣医師が増えるという寸法です。
そんな中で私が言いたいのは若い人たちの間ではレベルが上がっているということです。(講演会にいた人は)
昔、ある講演会でとてつもない質問が飛び交ったことがありました。ぶっちゃけていうとそんな治療しているのかい!って怒りたくなるようなむちゃくちゃな治療内容を質問していたのです。
今回は、というとレベルの高い、そんな高度な治療をやっているのか、と驚かされるようなものでした。
そんな風景を見ていると若手の獣医師たちも捨てたもんじゃないな、と思うのです。
問題はこのようなすばらしい講演も聞きに来ないような若手の獣医師たちです。
このような獣医師たちは本を読まない、もちろん買わない、(とりあえずコピー)勉強しない、もちろん勉強会も行かない獣医師たちで、先輩や院長たちから言われたことをただ言われるままにやって疑問も持たない人間なのです。
ベテランの先生が今までやってきたことを変えるのはそれは大変でしょう。若い先生たちは今からでも変えられます。動物にも飼い主にもよりよい世界にするためどうか若い先生たちは勉強してください。そして飼い主さんたちは質問を浴びせかけてください。
当院の医療相談にも毎日たくさんの質問が来ますがかかりつけの先生にちょっと聞けば解決することもたくさんあります。
私たち獣医師もそのような雰囲気を作っていないこともあるでしょう。
飼い主さんたちの素朴な疑問を若い先生たちにぶつけてみてください。それが若い先生の勉強にもなるのです。しいてはそれが病院と飼い主のよりよい関係になるのです。
若い先生たち、もっと勉強しようよ、と思う今日この頃です。


[本当にあったこわーいお話(こんな病院潰してしまえ!3)]----2002/07/31(Wed) 18:20
夏本番!好評の?暴露ばなしシリーズ第3弾です。
今回はどんな病院が登場するやら…
結構気が重いんですよ、ホントは。なーんでこんな人たちが同じ開業医とよばれるんだろ?と考えると悲しいです。

山梨県の本院にはかなり遠方から獣医師達が集まってきています。そんな獣医師達が見てきたある病院のお話をしましょう。
この病院ある地方都市にあるそうです。開院して間もない病院ですがかなりの売り上げが上がっているということです。その売り上げをあげる方法を皆さんにこっそり教えてあげましょう。
色々な問題もあってほんの一部しか紹介できませんがご了承下さい。機会があったらまた、ということで。
例1:ある日、1匹の小型犬が食欲不振ということで来院しました。もしかしたらティッシュを食べたかも?ということだったそうです。そこの病院では異物の誤飲ということで緊急手術に入りました。当然バリウム造影をして異物らしきものがあると確かめたうえでの手術です。そして結果は…何もなかった。
ここまで読んで?と思った人はマニアな人(知ってます?)です。あると思って胃を開いて何もない状況ではこれは”誤診”です。
では林な人(江川な人のパロディなんです)ならば…
これは開腹をした時点で”ブーな”症例です。なにせ飲み込んだのはティッシュです。これが詰まるときはよっぽど一度の大量に飲み込まなければなりません。通常ある程度消化しながら便から出てしまいます。
300万歩譲ってここまでは、技量がなかったこととして諦めましょう。
”よくあること”ではありませんが誤診はあります。こんなこと書いている私でも稀にはあります。人間ですから…(開き直っているわけではないですよ)
問題はこの先なんです。
なんとこのとき、その病院では以前撮った同じような症例のデジカメの写真を飼主に診せ
いかにもその犬から異物を取り出したように説明したそうです。
これは相当にあくどいですね。
もちろん、それ相応の手術料を請求して、飼主が払ってしまったことはいうまでもありません。
でも以前にも同じ手術したっていうことなんだよね。
例2:これはそこの病院の定番なのだそうですがいったん入院するとなかなか退院しないそうです。元気になっても食欲が出てもだそうです。
何でかって、聞いたところお金を取るため、だそうです。
じゃあ、いつ退院できるのって聞くと、飼い主さんがいついつ頃までには退院できそうですか?みたいに聞いたときが退院の時期だそうです。
聞かなかったらどうする?と聞いたらずっと入院しているそうです。

どうでしょう、これが売り上げを上げる方法です。
とんでもないです。
ほとんど詐欺ですね。
実際、この病院で金銭トラブルは毎日のようにあるそうです。
賢明な飼い主の方々はこんな病院を見極め、だまされないように潰れる方向に持っていって下さい。
いま、それができるのは飼い主の方々だけなのです。
その飼い主の皆様に少しでも正しい情報を発信していくのが”ノア動物病院”のHPです。
そして、私たちと共に飼い主の皆様も研鑽して欲しいと願う今日この頃です。


[”ノア動物病院”の理由]----2002/07/16(Tue) 16:52
台風真っ盛りの今日この頃です。
気圧の関係で癲癇発作を持っている子には辛いシーズンですね。さて、もうそろそろ時効でしょうから、この業界の893な話をしましょう。

当院は1990年に山梨県甲府市で”林どうぶつ病院”と言う名称で誕生しました。
それから10年を経た2000年に東京都八王子市で”ノア動物病院”を誕生させました。
そして翌年には3病院全てをノア動物病院に統一したのです。
”ノア”の名前をつける時にはいろいろなことを考え、熟慮し、この名前に到達したんです。そして実は問題もありました。
病院の名前のイメージはノアの箱舟です。
大洪水の前に全ての動物を1対づつ船に乗せ、動物達を守った、というあの神話から採ったのです。
私はキリスト教信者でもありません。
当然、動物達を病気から救うという意味でこの名前をつけました。しかし、もう一つの意味があるんです。
本当はこっちの意味合いが強いでしょう。
それは何かというと極悪な病院から動物達を救おう!という考えです。
世間にはそれはたくさんの動物病院が存在します。
残念ながらひどい診療をしている病院はたくさん存在します。
分かっていながらうそをつく獣医師(こっちのほうがまだましかも?)、間違った知識を信じてそれが全てだと言ってしまう獣医師、わからないのにさも分かっているかのごとく振舞う獣医師たち…
それらの病院で研修して増える分身達。
この増殖をとめることは海に小石を投げるがごとくの行為でしかないかもしれません。
これらの波を少しでも減らすべく、まともな獣医学、動物の知識を世間に広めて人間も動物も安心して暮らせるような世の中になって欲しい、していきたいという思いで”ノア動物病院”と言う名前をつけたのです。
何もすっごいことをやっているではありませんし、やっているつもりもありません。
通常以下の病院がかなり多いだけなのです。

そこでまずやったことはノア動物病院が全国にどれだけあるか?を調べました。
かなりたくさんありました。
そして次に登録商標になっているか?を調べました。
驚いたことにどこの病院も登録商標化していなかったのです。
そこでやったことは登録申請です。
そして待つこと数ヶ月(許可まで1年くらいかかるのです)。
なんとすでにある某ノア動物病院から1通のメールがきました。
内容は”ノア動物病院の商標は自分が持っているので病院名を変えろ!”と言う内容のものでした。
”何言ってんだろ!この人?”という思いで、少し放っておいたらまたこの人からメールがきました。
今度はかなりの脅迫調の文章でした。
プライバシーの問題もあるので皆さんには公開できないのですがそれはそれは凄い文章でした。(大切に保存しているのでもっと時間が経ったら公開?するかもしれません…)この人はなんでこんな理不尽なことを堂々といえるのだろう、と思いましたがそこは温厚な私のこと、丁重に
相手の主張をそっくりそのまま帰す形で返信して一件落着でした。
ほんと893じゃないんだから(893さんに失礼でした!)
どうやらその人は当院の申請から1ヶ月後に申請していたようです。
そんなこんながありましたが当院は無事登録商標を取得し、そろそろ色々なものにマルRがついていくと思います。
病院の名前一つでも色々と苦労?があるんですよね。
やっぱ”無知”ってこわいなー、と思う今日この頃です。(最後はいつもここですね)



[フィラリア予防注射薬返品の山]----2002/06/30(Sun) 20:05
今年の梅雨は、突然暑かったり、寒かったりと私たちも体調を崩すような気候ですが、皆さん、および動物たちはいかがでしょうか?

さて、昨年の秋に日本で新発売になったフィラリア予防注射薬、皆さんは打たれたでしょうか?
このコラムでも紹介したのでご存じの方も多いことでしょう。
ところが、実はかなりの副作用報告があり、各病院ともメーカーに返品の山をだしているそうです。
まず、どれだけの副作用が出たかのデーターをまず示しましょう。

※PROHEART 12 (12ヶ月効果)オーストラリア発売
 発売16ヶ月で160頭(死亡1頭)

※PROHEART 6 (6ヶ月)アメリカ発売
 発売9ヶ月で1388頭(死亡52頭)

※モキシデック 6 (6ヶ月)日本発売
 発売7ヶ月で239頭(死亡5頭)

日本で発売されているのは”モキシデック6”というやつです。実はこれも発売7ヶ月でこれだけの頭数ですが実際使われているのは5月以降ですので副作用報告としてはかなりの数に上ります。(私的には2ヶ月でこの頭数だと思っています)
この数を多いと見るか少ないと見るかは皆さん次第ですが
私はかなり多いと思っています。
この副作用、どんな種類があるかというと顔面腫脹、アナフィラキシー様ショック、全身反応、局所反応等です。
そしてアナフィラキシーの重度なものは死亡に至っているようです。
初めは安全性が高い、と言われていたのですが、こうしたデーターを見るととっても危ないもの、と言う気がしてきます。
初めはこの副作用はとっても低いと発表されていたんです。(今もですが…)
だって ”打った”頭数ではなく、”売った”頭数を副作用頭数の分母で発表しているんです。しかも10sで換算した推定頭数なんです。
これを見ると副作用の確率は0.04%なんです。
でもこれは全く信頼性のない数値です。
だから私はもっと分かりやすい形で上の数値を出してみました。
数字のマジックですね。
ところで当院ではこの”モキシデック6”はいっさい使っていないのです。
では何を使っているかというと”PROHEART 12 オーストラリア産”なのです。
この商品、日本発売されていないためわざわざ海外から取り寄せています。
当院では今年から導入しましたが、幸いにも今まで1例も副作用がありません。
すでに300頭以上投与しましたが、いわゆるアレルギー症状すらありません。このような好結果は、ある程度予想していたのですが、私自身もこの結果にビックリです。
今までならこのような悪い副作用報告はけっこううやむやにされ、私たちまではうわさでしか届かないのが実情でした。しかし、このご時世かとりあえずメーカーは報告してくれています(数字の出し方には不満足ですが)のでこのような形で発表できるのです。
私たち臨床家も新しいものが出たから飛びつくのではなく充分研鑽して導入する姿勢が必要なんだなあ、とつくづく感じる今回の商品でした。(けっこうあたらしもん好きなんで…)
これからも私たち、動物たちのための新商品が続々と発売されるようですので使う側である私たちもきちんと勉強して皆さんに提供していきたいと思っています。
新商品、新知識があふれる現代、日々研鑽したいと思う今日この頃です。




[情報公開]----2002/06/14(Fri) 12:16
ちまたはワールドカップサッカー一色の日本ですね。当院のHPアクセスもワールドカップ放送時間には、ガタッと落ちているようです。

現在、動物病院の広告には人間の病院と同様にかなりの規制がされています。得意分野、出身大学、学位などをいわゆる電話帳広告に載せてはいけないとされています。
しかし、最近人医の方でこの規制が緩みつつあるそうです。
つまりクライアントにわかりやすいように色々な情報を公開する方向なのです。
動物病院でも同じです。
例えば一般の方々が動物病院を選ぶには何を基準にするのでしょう?
入ったときの感じ。
スタッフ応対。
清潔さ。などなど
そのほとんどが本当にクライアントの主観でしか選ぶ基準がないのです。
それが色々な情報を公にすることで客観的なデーターを元にクライアントが病院を選べるのです。
業界の人たちがほとんど見ている某有名掲示板では診療料金を載せた病院のHPは広告に当たるためそのようなところはリンクしないようです。(当然当院もです)
それはそれでそこの方針なのでしょうが、いまどき動物病院に料金も調べないで行く人がいるでしょうか?
わざわざ動物病院に電話で料金を聞くならこんな便利なインターネットはなんのために存在するのでしょう?
HPは読みたい人が、情報を欲しい人が見るために存在すると私は思っています。
だからこそ料金も載せてあげるのが親切というものではないでしょうか?
当院のHPコンセプトは”クライアントのために”ですので。
これから人医の方ではこんな手術をこれだけやったから、この病院は専門的な手術の症例数が足りないから診療報酬カットなどということがでてきます。
すでに当院の医療情報にあるようにどんな手術をどれだけやった、そしてどれだけ失敗した、どれだけ成功した、ということを各病院が公開する日も近いでしょう。
当院でもどれだけの動物が何で死んでいったか、などの情報公開を考えています。
実際にHPを見たからかはわかりませんが診察もしていないのにいきなり避妊手術を電話で予約する人が増えています。(それもどうかと思います…)
当然ながらメディアの情報以外にも実際に自分の目で確かめることも必要だと思います。
今後、動物病院のHPはただの病院紹介ではなく、診療料金も含めた、本当にクライアントが知りたい情報を発信する、クライアント教育の一手段に今よりもなっていくでしょう。また、なっていって欲しい、と切に願う今日この頃です。(当院の料金表にクレームつける病院あるんだよね〜 内政干渉なので無視ですが…)


[格付け会社の参入]----2002/05/30(Thu) 19:35
ちまたでは、フィラリア予防シーズン真っ盛りです。昨年暮れから登場したフィラリア症予防注射(6ヶ月間のみ有効)は、かなりの割合で副作用が出て大騒ぎです。
幸いにも当院で導入しているオーストラリア製の1年間有効の注射は今のところまったく副作用もなく(小さな副作用さえ出ていません)安全ですのでご安心ください。

さて、銀行、一般企業、国債等で行われている欧米の格付け会社が今度は日本の医師の格付けに乗り出すことになったことは皆さんもうわさに聞いていることでしょう。
この格付けで困るのはいわゆる”ヤブ医者”たちです。なにせ日本の医療制度では手術をやって成功した医者よりも少々失敗して入院日数の長引いたほうが儲かる仕組みになっています。
また、保険制度という最悪のぬるま湯につかっていますのでいままでいい加減なことをやってきた医者たちは間違いなく淘汰されるでしょう。
この流れは間違いなく動物病院の世界にもやってきます。
以前、某週刊誌で動物病院ランキングなるものを取り上げていましたが、こんなにいい加減なものもありませんね。
これらはある団体所属の病院が中心で本当にいい病院が入っていないのが実情です。
業界でも有名なヤブ獣医師がランキング上位に入っていたりもしていました。
でわ、何を持っていい病院か?ということです。
これは視点の問題なのです。
その視点は”自分がかかりたい病院”ということです。どんなに設備が立派でも中身のソフト(働いている人や獣医師)が充実していなければかかりたいとは思わないですからね。
医者のランキングは常に自分や身内を診察させたいかを中心にアンケート調査をした上、専門家同士の相互評価で決めるそうです。
動物病院の世界ではまだまだ、でしょうがいずれその波は押し寄せてくるでしょう。
そのときのため、ではないのですが、私たちも常に飼い主さんの視点に立って病院作りをしていきたいと考えています。
そのころにはこのコラムに登場するような目を覆いたくなる病院は滅亡していることを切に祈ります。
その運命を握っているのは私たちではなく、あなた方飼い主さん自身であることは言うまでもありません。
人の振り見て我が振り正す、と思う今日この頃です。




[狂注 2]----2002/05/05(Sun) 19:46
今年も狂注のシーズン到来です。
私の担当は山梨県の北部地方で、今年も4連ちゃんで800頭の犬に注射をしました。なんとか今年は無事に無傷で終了です。
(去年のコラム13”狂注”も参考にして下さい)

このコラムは、一般の方はもちろん獣医師の方々にも好評?のうわさが入ってきています。
仲間内の話を公表して”けしからん!”ということのようですが、そんな陰湿な隠蔽体質こそ”けしからん!”と思うのは私だけでしょうか?
建前は政治家の世界だけで充分でしょう。
これからも本音トーク爆裂させますのでご期待?ください!

さて、前置きが長くなりましたが、狂注についておはなししましょう。
皆さんは狂犬病の予防注射(混合ワクチンも一緒ですが)をどれくらいの量、接種するか知っていますか?
1ccなんです。
これってどんな大きな犬(例えばセントバーナード)もどんな小さな犬(例えばチワワ)も1ccなんです。
狂犬病の予防注射に行くとたまに”この子は小さいから少なくして”っていわれるんです。
でも私は”はい”とか言いながら1ccしっかり打ってしまいます。
この1ccという量は、狂犬病の予防注射が効果的に効く量なんです。
なのに少なく打っては何の効き目がないのです。それなら打たない方が痛くもないしよっぽどいいと思うんです。
話がそれましたが、この予防注射は”免疫”というちょっと難しい出来事を体の中で起こすのです。
 免疫とは一度病気にかかると二度と病気にかからない現象のことなんです。この免疫を積極的に利用して病気の予防方法を発見したのがジェンナーというお医者さんです。彼はワクシニアウイルスを人間に感染させることにより天然痘を予防することができることを発見したのです。この方法を種痘(ワクチネーション)と呼ぶところから一般的に予防注射のことをワクチンと呼ぶようになったのです。
 ワクチンとは本物の病気になる前に、病気が出ないように弱めたり、殺したり、似たような種類で無害の病原菌などを体に入れて、実際に病気にかかったときにその病気と戦える力である抗体を事前に作っておくためのものです。
 狂犬病の予防接種の一定量が体の中にはいることによって、この免疫ができるのです。
そして量はすべての犬において今使われている注射は1ccで、この量が効果的に免疫を作る量なのです。
これと全く異なるのがフィラリア予防の注射や飲み薬です。
体重によって予防量が違うし、金額も違います。これは駆虫薬で免疫とは何にも関係がないからなのです。
珍しく学術的なことをお話ししましたが、たまにはいいでしょう。
こんなこと、知らない獣医師はいないと思いますが、”注射をパンにしみ飲ませて食べさせろ”という話もきいたことがあるので、もしかしたら知らない獣医師がいるかもしれません。(まさか…とは思いますが何があってもおかしくない世の中ですから)
みなさんもこれに限らず、常に勉強し、うその世界を一緒になくして欲しいと願う今日この頃です。



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